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IF……餃子を食べたら?

第3章 徹さんに餃子を食べさせてみた

食材を買い、私のアパートで料理を始める徹さん。
手伝いをするはずだったのに、気がつけばずっと口が動いてしまう。
それは食事中も後片付けの間中もずっと続き……
それでも徹さんは呆れることもなく、ずっと私の話を聞いてくれる。
私が手伝う事等ないうちに食事の後片付けが終わり、徹さんは『ふぅ…』と一息ついてソファに腰をおろした。

愛「あの、なんだかすみません。私ずっと喋りっぱなしで、つまらない話ばかり…」
桐「そんなことはない。俺は愛実から色々な話が聞けて楽しんでる」
愛「徹さん、あの…キノコの効能ってどれくらいで切れるんですか?」
桐「それがまだ調べている途中らしくてな。多分半日か1日ぐらいだとは思うんだが」

餃子を食べたのが夕方だったから、私の口はまだまだ止まらないんだ。
そう思うと気が重くなってしまう。

愛「そうですか…」
桐「どうした?」

徹さんがそっと肩を抱き寄せた。

愛「だって、なんか私ばっかり喋りっぱなしで…本当はもっと徹さんの話も聞きたいのに…」

その時ー。
私はある事を思いついてしまった。

愛「徹さん、お願いがあるんですけど」
桐「ん?なんだ?」
愛「ちょっと待ってて下さい」

私は冷蔵庫からある物を取り出す。
“チン”っと聞きなれた音の後に
熱々に温められたある物をトレイに乗せ徹さんの元へ戻る。

桐「!!!愛実っ」
愛「お願いです!!」
桐「いや、待て。そんなもん、食わんぞ」

ソファーから今にも逃げ出しそうな徹さん。
私はテーブルにトレイを置くと、わざと徹さんの隣にピタッと座る。

愛「徹さん、私だって徹さんから色々な話が聞きたいです」
桐「いや、待ってくれ」

少し考えこむ徹さんが言葉を続ける。

桐「やはり、無理だ。すまん……」
愛「徹さん……お願いです」

(あぁっ。これじゃあ私が迫ってるみたいじゃない…でも……聞きたい。あの口数の少ない徹さんが幻の食材入り餃子を食べたら何を喋り出すのか…)

困惑な顔つきの徹さんに、それでもなお食い下がる私。
徹さんからしてみれば質の悪い酔っ払い以下だろう。
それでも、徹さんの言葉が聞きたいという私の欲求は止まるところを知らない。
餃子の効能も加わってか、私の口も止まりそうにない。
それでも首を縦にふってくれそうもない徹さんはすっかり困り顔だ。

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