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IF……餃子を食べたら?

第4章 蓮くんに餃子を食べさせてみた

場所は黒猫。
カウンターの席に二人で並んで座る。

一「時生ちゃーん、アイスカプチーノちょーだい」
夏「あれ?お酒じゃなくていいの?」
一「うん。この後僕の家でご飯食べるし。お酒はまだいいや。それに、僕が酔っぱらっちゃったら、愛実ちゃんのフォローできないし」
愛「うっ……」

(どうせ、蓮くんの方が手際もいいし、料理だって上手だけど、ここで言わなくてもいいのに……)

そんなことを思ってしまったのだろう…

一「愛実ちゃん、バレバレ。顔に出てる…」
愛「!!!な、な、何を…」
一「どうせ、僕の方が料理できるって言ったのが、つまらなかったんでしょ?」
愛「うっ…」
一「だって、ほんとなんだもーん。トマト湯むきしてって言ったら、トマト煮ちゃうし」
愛「そっ…それは、途中でひき肉を解凍しなきゃと思って冷凍庫の中探してたら、なかなか見つからなくて…」
一「そうだったよねっ。テーブルの上に一番最初に冷凍庫から出したのも忘れちゃってたんだもんねー。おかげでサラダに使うはずだったのに、ミネストローネに変更しちゃったんだよねー」
夏「あらあら。それは可愛い失敗だね」
愛「すみません……」
一「でも僕、愛実ちゃんの料理だーい好き」

ぎゅっ。
隣に座っている蓮くんの両腕が私を挟み込むように抱きしめてくる。

愛「もう……」
夏「はいはい。ご馳走様。愛実ちゃんも同じのでよかったよね?」
愛「はい。ありがとうございます」

ほんの少し前までは隣に座る事さえ、意識してしまってたのに。

今は蓮くんの隣が私の指定席。
そんな私はすっかり蓮くんのペースに巻き込まれっぱなしだ。

♪Trrrrrr~

愛「蓮くん、電話じゃない?」
一「ん?、あ、ホントだ!もしもし~?あ、オーナー?うん、うん。えっ!ホント?週末から?うん。わかった!大丈夫!ありがとう!!!」

電話を終えた蓮くんはキラキラスマイルだ。
(マズイ。こういう時は大抵突拍子もない事を言うんだっけ……)

一「愛実ちゃん、週末出かけるからね!」
愛「えっ?週末?待って、週末は麗子とホテルのエステコース予約してるんだけど」
一「……じゃぁそれ、延期して」

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