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IF……餃子を食べたら?

第1章 晴樹に餃子を食べさせてみた

乱れた呼吸を整える。

志「……ん」

無造作に放り出された晴樹の腕にそっと頭を預けた。
しっとりとした肌。
そして
乱れた呼吸は愛の深さを教えてくれる。
晴樹がこちらへ向き直り、腕の中に包み込まれた。

(晴樹の匂いだ……)

そっと髪を撫でられて私は目を閉じる。

志「新堂さんに小言言われちまって悪かったな」
愛「ううん…」
志「……ちゃんと」
愛「ん…?」
志「ちゃんと、考えてるから」
愛「ん……?何が……?」
志「……何がって、…お前の事」
愛「私の事?」

晴樹が何を伝えたいのかわからなくて顔を上げる。

(うわ……晴樹真っ赤…)

愛「晴樹……?」
志「……全く、相変わらず鈍いな……」
愛「フガッ……」

鼻の頭をキュッと摘まれる。

志「俺と……お前の事に決まってんだろ?」
愛「晴樹…」

心がふんわりと温かくなる。

志「でも…まだ…まだダメだ。俺、まだまだガキっぽいとこあるし、もうちょっと色々解決して、落ち着いて……そしたら……それまで待ってろ」
愛「……」
志「おい、返事は?」
愛「……」
志「なんだよ?ここは、『うん、待ってる』って、ぶちゅーってなるところだろーが?」
愛「……」
志「…んだよ……さっきの、まだ…怒ってんのか?」
愛「ううん」

私は首を振った。

愛「待つって何を?」
志「は?おまっ……」
愛「晴樹……、私、ちゃんと聞きたいな」
志「え?」
愛「ちゃんと聞かせて。晴樹の言葉」
志「……」

真っ赤になった晴樹の鼓動が早くなるのがわかる。
私を抱き寄せていた腕が少し離れて
晴樹が私の瞳を真っ直ぐに見る。

志「結婚しよう」
愛「……」
志「返事は?」

胸がいっぱいになって思うように言葉が出ない。
そのかわりに
取り留めもなく涙が溢れた。

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