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覇者の剣

第3章 記憶

「武蔵…?」


基はいまいちピンとこなかった。


「武蔵、わいの本当の名前や。それさえもわからへんか?」


颯汰は深いため息をついた。


「よく理解できねぇけどさ、じゃあつまり…何? お前は須王颯汰の魂を肉体から追い出したってこと?」

「…追い出したっちゅうか…」

「そういうことだろ?」

「…颯汰は死にたがっていたんや。わいはそんな颯汰をずっと見守ってきた」

「見守ってきた? 換生するためにだろ?」

「落ち着け、基。ゆうてもわいらはな、無理矢理換生するわけやないで!」

「はっ、換生なんていい言葉でごまかしてるだけじゃねぇか! つまりお前らは人殺しだな!」

「!」

「自分たちの都合で人の体奪うとか、迷惑極まりないぜ! 600年も生きてまだ生きたいとか、ふざけてるだろ! オレの体はオレの物だ。誰にも邪魔させない!」


そう言うと、基は荒々しくドアを開けて部屋から出ていった。


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