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覇者の剣

第4章 転校生

早紀にそう言われて、基は自分の体の匂いを嗅いだ。


(風呂入るか…)


学校は遅刻だが仕方ない。
というか、朝から通学路で喧嘩売られることもしばしばあるので遅刻は珍しくなかった。
基は洗面台で服を脱いで傷を確認する。


「治ってる…」


あんなに血が出ていたのに、回復が早い。


「あいつ、何を…」


どうもおかしい。
関東から関西に移動したのも、傷の治りが早いのも。


「これが天魔一族の力…?」


基はシャワーを浴び始めた。


(どうかしてる、こんなの…)


あの男の力も颯汰が話していたことも、あんなこと現実にありえるわけない。
自分はきっと夢を見ていたんだ。
少し疲れていたんだ。
でも…。


(…悟は大丈夫だろうか…)


ふとよぎった疑問で胸騒ぎがした。
基はすぐに風呂場から出ると、悟の携帯番号に電話をかけた。


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