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覇者の剣

第4章 転校生

「それよりも…今は一時間目の途中だろ? なんでお前がここにいるんだよ」


基はサラリと話題を変えた。


「あぁ、一時間目は実習になったんだよ。なんでも学校の敷地内にある祠が何者かに破壊されたみたいでさ…」


そう言うと悟は三階の窓から運動場を見下ろした。
運動場の隅には楠木がある。その楠木のそばには小さな祠が建っていた。


「はぁ? 祠が破壊されたくらいで、なんで実習になるんだよ」

「わからないけど、今から緊急会議だって」

「…ふぅん。ま、オレたちには関係ねぇし、先公がいねぇなら保健室で寝てくるわ」


ふあぁぁ…と大きなあくびをする基。


「だめだよ、基。碧也さんに学校案内してあげないと」

「…あ? 今ごろ吉乃がしてるだろ」


基はあくびをしたまま、階段を下りていく。


「…ったく、マイペースなんだから…」


悟はもう一度、祠の方に目をやった。
さっきは誰もいなかったのに、その祠のそばに人が立っているのが見えた。


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