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覇者の剣

第4章 転校生

「!」


そこに立っていたのは、悟を『様』呼ばわりしたあの男だった。
男の顔はしっかりとこっちを向いている。
悟は慌てて目をそらしたが、気になって恐る恐る視線を戻した。


『…悟様、私の声が聞こえますか?』


頭の中にあの男の声が響いた。


「!?」


ここから祠の場所まで距離はある。
大声を張り上げれば聞こえるかもしれないが、男の口は動いてる様子はない。


『先程、一つ目の封印を解きました。これで彼奴らが解き放たれるでしょう』


(彼奴ら…?)


『ご安心ください。記憶を取り戻してなくとも、悟様に危害を与えることは致しませんので』

「!?」

『まあ、多少気が荒いのはお許しください』


そう言うと男はその場で姿を消してしまった。


「消えた…」


悟は何度も目を凝らして祠を見たが、男の姿はどこにも見当たらない。


(幻覚…? でもはっきりと声も聞こえた。頭の中に直接響いてきた感じだった…)


その時、悟はゾクッと背中に悪寒を感じた。



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