そばにいたい。
第3章 二人で水族館
「ぼくねー、ペンギンが見たい」
「私はー、イワシ…」
「イワシ…?」
「なんかね、スッゴクたくさんのイワシが群れになって泳ぐの。キラキラしててキレイなのをテレビで見たんだ~」
「へぇ!ぼくも見たいなぁ!」
二人で話ながら電車に揺られる
私が運転して車で行っても良かったが、折角なのでずっと手を繋いでいられるように電車にした。
「麻衣お姉ちゃんのワンピース、スッゴク可愛いね、似合ってるよ」
おっと、そーいうのは彼女に言うんだぜ少年…
と思いながらも、やっぱり嬉しい
「え、そぉ?ありがとう」
ニコニコして遥斗がご機嫌なのが嬉しい。
遥斗はお気に入りのTシャツに、紺色の薄手のパーカー、ハーフパンツ、スニーカー。
なんとも少年らしい、あー可愛い。なに着ても似合う。たぶんスカートはいても似合う。
繋いだ手をニギニギしながら、遥斗はそわそわしている。
「どおしたの?」
「えっ、うぅん、まだかなぁって…」
「次の、次の駅でおりて、すぐだよ」
「楽しみだね!」
「そうだね」
そうやって見つめてくる遥斗、きっと大きくなったらモテるだろうなぁ…いや、もうすでにモテてそうだ。そう思ったら、聞きたくてウズウズしてきた
「遥斗ぉ?」
「ん?なぁに?」
「遥斗って好きな女の子居るの?学校に可愛い子いる?」
「え!?」
パッと顔が赤くなる
「好きな子いるんだ!どんな子?可愛い!?」
「クラスの女子も言ってたけど…よく分からないよ…」
「そっかぁ…恋愛って難しいからね!でも、彼女出来たら教えてね?」
「レンアイ…カノジョ…」
遥斗はムムムと唸ってしまった。
「ゴメン、ごめん、あ、もう着くよ、おりる準備しよ」
私はバッグを肩にかけて遥斗の手を握り直した。