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そばにいたい。

第3章 二人で水族館

洞窟のような通路を抜けると、視界に入りきらないほどの大きな水槽が現れた。


「わぁ…おっきぃ…」


遥斗はベターっと水槽に張り付くようにして、水槽の奥を見ている。


「すごいねぇ…」


私も遥斗の隣でベターっと水槽にくっつく、私は水槽に張り付く遥斗を見る。


「ぼくも、海に潜ってるみたい…!」

「ふふ、いつか一緒に潜りに行こうか?」

「うん!約束だよ!」


目をキラキラさせて遥斗は笑う。
私はそのキラキラを大事にしたい。


「遥斗、お姉ちゃん、後ろのベンチで座ってみるから…次に行くとき呼んで!」

「わかった!」

遥斗はタタタッと走って水槽の端っこを見に行った。

「ふぅ…」


楽しいけど、最初からハイペースじゃ体力持たないな…と思いながら、ベンチに腰かける。

ベンチと行っても、ソファーみたいな感じで、とても座り心地が良い。

深く座り直し、水槽全体を見る。


「ダイビングか…絶対行こう。」


優雅に泳ぐ魚は、手に触れられそうな気がする。
実際触れられたら、楽しいかも。
私は、券売機の横からもらってきた水族館のパンフレットを広げた。


「えっと…イマココだから…へぇ、ラッコ…あ、ペンギンがここか…あ」


''タッチングプール''

最後の方だから、最後によってみよう!
遥斗、触れるかなぁ?パンフレットを広げニヤニヤしていると


「麻衣お姉ちゃん!ぼくより大きな魚がいっぱいいたよ!凄かった!次行こう!」


と興奮気味の遥斗がやってきた。


「よし、次いくか!」


私はパッと立ち上がり、遥斗の差し出した手を握り歩き出した。

遥斗が奥のベンチの方をジッと見たような気がしたが、すぐに歩き出したので、私はそちらを見ることはなかった。

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