そばにいたい。
第3章 二人で水族館
ペンギンのコーナーは人が溢れ返っていた。
ちょうど、餌やりの時間だったようで、飼育員の女性がペンギンに魚の切り身をあげている。
上を向いてあぐあぐと食べるペンギンに、遥斗は釘付けになっていた。
「可愛い…可愛い…」
と喜ぶ遥斗の方が可愛い…!
デレッとしていると、遥斗が後ろに行こうと手を引っ張る
人混みの後ろに出て
「もういいの?まだ見てて良いよ?」
と言うと
「ぼくたちの後ろの人も、近くで見たい…と思うし…」
「そうだね、遥斗、優しいね」
えへへっと笑って、繋いだ手をブンブンと振る。
照れてる…可愛い!
「お腹すいたでしょ?ご飯にしよっか?」
「うん、ここで食べるの?」
「そーだよー、上の階にレストランがあるの、色々あったから…何でも好きなもの食べよう!」
遥斗は嬉しそうに、近くのエスカレーターを目指す。
レストランは人が多かったが、待たずに席に座れて、向かい合ってメニューを広げる。
「うーん…悩むなぁ…」
「ぼくも、悩んじゃうなぁ」
「たくさんあると、余計迷っちゃうね」
「うん…」
メニューとにらめっこする遥斗を見ているだけで、しあわせ…
「麻衣お姉ちゃん、決まった?」
「まだぁー…、パスタと、ハンバーグで悩んでる…」
「あ、ぼくも…じゃぁ、どっちも頼んで半分こしよーよ!」
「いいねー、じゃあどのパスタとハンバーグにする?」
「じゃぁ…これと、これで良い…?」
遥斗は、ぱっぱと選んで、店員さんを呼ぶ
そのままこれとこれをくださいと、手早く頼んでくれた。
やだ、彼氏より彼氏みたい!居ないけど…。
ありがと、と言うと、遥斗はニコッと微笑んだ。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える