そばにいたい。
第3章 二人で水族館
「あは、ありがとう、いつまでも若くキレイでいたいなぁ」
私はしみじみと言いながら、遥斗を撫でる
「…」
遥斗は恥ずかしそうに俯いていた…。
「遥斗、タッチングプールって知ってる?」
「?」
「魚とか、イソギンチャクとか…後、ヒトデとか触れるんだよ」
「ぼくも、触って良いの?」
パッと顔を輝かせ、今すぐにでも行きたいと言わんばかりだった。
「私も一緒に触ろうかな…さわれるかな…?」
「だいじょーぶ、こわくないよ」
遥斗はいつもの天使の微笑みで優しく言う
「行ってみようか?」
「うん、行こう」
そう言って、遥斗はまたスッと恋人繋ぎで手を繋ぐ。
ま、いっか…可愛いし
ラッコの水槽のとなりに、クネクネしたちょっと細長いプールが設置されていた
「あれかな…?」
「あれっぽいね、いってみよう」
遥斗と一緒に覗き込むと、そこには小さな海があった。
魚が泳ぎ、イソギンチャクが揺れ、カニやヤドカリが動いている
「わぁぁ…!」
「色んなのが居るねぇ…!」
「触って良いの?」
「良いよ~」
遥斗は着ていたパーカーを脱いで、ソッと水に手を入れた
「冷たい…」
と言いながら、顔は真剣だ。
私も、と思って羽織っていたカーディガンを脱ぐ。
「わ、ほんと、結構冷たい…」
でも、気持ちいいな…と、海水の中で、手をヒラヒラさせる。
プールの壁に星が張り付いている、ヒトデだ。
私はそっと剥ぎ取って手に乗せる
「遥斗、見てみて、ヒトデ!ちっちゃいけど…」
「わぁ、ぼくのこれ、なんだろう…」
遥斗が両手に乗せていたのは大きなナマコだった…
「たぶん、ナマコ…かな」
「なまこ…へぇ」
まじまじと観察して、遥斗はそっと水にナマコを返した。
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