そばにいたい。
第4章 二人の帰宅
「今日ね…ぼく、見ちゃったんだ…」
遥斗がボソボソっと言う
「え?なにを?」
「……してるひと」
「ん?」
「キス、してるひと…水族館で…」
なんだって!?そんな水族館のような人がたくさん居るような場所で、キスする人が…?!
って一瞬考えたが、若い子ならするのか…?
え、私…もうオバサン…?
「へ、へぇ…」
「大きな水槽とこで…」
遥斗がそこまで言って、私はふと思い出した…遥斗が一瞬、奥の方を見ていたのを。
あぁ、あのときか。
後ろの方は薄暗かったし、そうかそうか…
くそう、私の天使になんてモノを見せてしまったんだ…!
いや、今もテレビで見てるけど…
「結婚すると、キスするの?」
遥斗がじっと見つめてくる
「え…、うーん、結婚する前の恋人同士でもすると思うよ、それに、海外では挨拶として、ほっぺにチューするし」
「へぇ…」
何か考えるような顔をして、遥斗はまたテレビの方を見た
むふふ、なんだかイタズラ心が湧いてきた
「遥斗…キスしてあげようか?」
「え!?」
バッとこっちを見て顔を赤くしている
あれ、思ってたんとちゃう…
もっと、こう…拒絶するような反応を期待していたのに。
「…」
顔を赤くしたまま、私をじっと見る遥斗。
どうしよう…この反応はどう言うことだろう?
もう、そんなことに興味が出る年頃?
「…っ」
…ピンポーン
遥斗が口を開きかけた瞬間、家のチャイムが鳴った
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