そばにいたい。
第2章 二人暮らし
遥斗が通う小学校はこの辺りでも有名な、私立小学校だ。
遥斗の両親が小学校の学費は全額前納していたので、私は遥斗の学資を払うことはない。
中学、高校、大学までエスカレーター式の学校だ。
学費は、遥斗の両親の遺産で払えそうだし、そのまま通うことにした。
友里姉ちゃん…良い旦那さんと結婚してたんだね…!
「麻衣お姉ちゃん、ぼく、そろそろ行くね?」
「あ、じゃあ私も一緒に出ようかな」
私は残ったコーヒーをグイーッと飲み干して、テーブルの上のお皿を手早く流しに押し込む。洗うのは後で!
「じゃぁ、行こうか」
「うん!」
私たちは手を繋いで学校に向かう、親子に見えるかな?姉弟に見えるかな?
校門の前で別れ、私はそのまま駅に向かう
少し遠回りになるけど、遥斗と少しでも一緒に居てあげたい。
遥斗は両親が亡くなったと聞かされたときこそ涙を見せたものの、そのあとは一切泣かない。
泣き言さえ言わないのだ…。きっと悲しい気持ちを溜め込んでいる気がしてならない。
「私が頑張らなきゃ…!」
満員電車に飛び込みながら、私は決意を固くする。
遥斗を立派な大人にする!(なるべく)寂しくさせない!
あぁ、満員電車のおじさんの臭い…!幸せって思ってたのに…最近ちょー臭い!
遥斗の天使の香りのせいだ…!
通勤がこんなに辛いなんて…決意が歪む!ちょっとイライラしながら、足を踏ん張る。
そして私は職場に向かうのであった。