そばにいたい。
第2章 二人暮らし
無事に片付いて家に帰り着いたのは、もう日付も変わってしまった深夜だった。
「はぁ…」
何度目のため息だろう…帰りのタクシーの中で、運転手のおじさんに心配されるほど多くのため息をついた。ごめんよオジサン…。
「ただいまぁ…」
小さな声で言いながら、家の中に入る
もう真っ暗だ…当たり前か。
寝てるだろうな…そう思って寝室を覗く。
ベッドの上の布団がこんもりと膨らんでいるのが、ぼんやりと見える。
ゆっくり、音を立てないように近付いて、私はそっとベッドに腰かけた。
窓から差し込む、わずかな月明かりに照らされた、私の天使。
寝顔をそっと撫でる…すべすべしたほっぺた…サラサラの髪の毛。
「ん…」
遥斗がうっすら目を開けてしまった。
「まい、おねぇちゃ…ん…」
「ゴメンね、起こしちゃったね」
「うぅん、おかえり…」
フッと微笑む遥斗、胸が痛い…!
「ちょっとシャワー浴びてくる、ね?」
ベッドから立ち上がろうとすると
「ぁっ、待って…もうちょっと…」
遥斗が私の服の袖をつかんだ。
私は微笑んで、上着とスカート、シャツを脱いで近くの椅子の背もたれにかけると、遥斗の横に潜り込む。
「遥斗、今日はゴメンね」
ぎゅぅっと抱き締める、あ…やべ、汗くさいかな…
「平気だよ…宿題が捗っちゃった」
えへへと笑う天使。
私はこの笑顔を守らないといけないのに…
「お姉ちゃん…?どおして泣いてるの…?」
「え…?」
ハッとして目元をさわると、確かに私は泣いていた。
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