触って、七瀬。ー青い冬ー
第8章 初夜の残像
「ひぁっ…」
高梨は僕の首元に顔を埋めた。
鼻が僕の首筋をなぞる。
高梨の冷たい手は僕のシャツのボタンを上から一つずつ外していった。
高梨は僕の首に舌を這わせた。
「あっ」
高梨から甘い香りがする。
はちみつの香り。
舌がずる、と鎖骨まで下りる。
「んん、ぅ」
高梨はその舌を胸の真ん中まで滑らせ、冷たい手で脇腹を撫でた。
「肌気持ちいい」
高梨の手のひらが、僕の肌を味わうみたいにするすると擦って遊ぶ。
「はぁっんっ、ん」
くすぐったくて気持ちいい。
舌がぬる、と胸の突起を舐めた。
「あぁっ」
「もっといじめたくなった」
高梨がベッドから降りて、いくつか道具を取り出してきた。
黒い紐の束と、液体が入った容器と、黒い布と…
高梨は黒い紐の束を僕の胸の真ん中に滑らせた。
「あ…」
むずむずする。
感触は革のようで硬い。
ぴちぴちと音を立てて肌を擦る。
パシッ
「あっあ」
パシッ
「ああっ…は…」
これは何だ。
痛いのか、気持ちいいのかわからない。
でも、その繊維の束が肌の上を優しく擦るたびに、もっと強く、と思ってしまう。
そんなにむず痒く動かないで。
いっそ、もっと強く、激しく、と。
「これ、良いんだ」
高梨の低い声が耳をかすめた。
「こんなに良い反応したのお前が初めて」
パシッ
「んんあっ…あ…」
気持ちいいなんておかしい。
だって、これは痛みを与えられてるだけ。
「変態だな」
高梨がまた、黒い紐で僕をくすぐる。
「んん…ん」
白い、高梨が選んだパンツがきつい。
「いじめられて気持ちいい?七瀬」
「いや…だ」
高梨は僕のベルトに手をかけた。
かちゃり、と音がして、白いパンツが下らされる。
「嘘つき」
高梨が僕のふくらんだそこを優しく撫でる。
「んん…ふ」
冷たい、細くて長い指が、いやらしく僕を撫でる。
先端の濡れたところを、するすると指が挟んで擦る。
「どうしてほしい?」
「んっ…んっ」
もどかしい指の動きで、僕は体をよじらせた。
高梨がそこを優しく撫でながら、僕の耳に囁く。