触って、七瀬。ー青い冬ー
第8章 初夜の残像
「純粋だね、夕紀は」
首に腕を回したまま、見つめあった。
「純粋とはかけ離れてると思いますよ」
僕は笑った。
「でも俺にはそう見える」
「僕が子供だからですか?」
《子供って、なんですか?》
《純粋ってことだよ》
「夕紀は子供じゃないよ」
「大人も嫌です」
「うん。夕紀は子供でも大人でもない」
そう。僕は子供じゃない。
でも、大人なんかでもない。
ずっと、そんな風に生きていきたい。
曖昧なまま。永遠にモラトリアム。
「ありがとう」
「なんで?」
「翔太さんにはわかんないよ」
僕は翔太さんに抱きついた。
安心した。心地よかった。
「俺にはわかんないか」
翔太さんはちょっと落ち込んだ。
「そうじゃなくて」
僕は抱きつかながら、
翔太さんの香りを楽しんだ。
レモンとバニラの香り。
「翔太さんは頼れる、
ちゃんとした大人だから」
頼れる人なんて、もう消えたと思ってた。
でも、ちゃんとここに居た。
「色々、大変だったね。
まだ若いのに」
翔太さんが呟いた。
「大変なんかじゃないですよ。
ただ、寂しかったなぁって」
翔太さんは暖かい。
「でも、翔太さんがいるからもうさみしくない」
翔太さんは僕の頭を撫でた。
「…俺も」
僕は幸せだった。
幸せが長く続かないこと、
幸せなんて幻だってこと、
よくわかってる。
だから、今のうちに言っておく。
「幸せ」
……
「んっぐ…ぐ」
翔太さんの棒が、喉の奥をつく。
苦しい。
「はぁっ、夕紀、いい」
夕紀の目が涙で濡れていた。
それが可愛くて、もっと腰を打ち付けた。
「んんっ、んっ」
夕紀は苦しくても必死で舌を絡ませて、
肉棒をしごいた。
「っぷはっ」
夕紀をベッドにうつぶせ寝かせて、足も閉じさせた。
「待って、まだ痛い…」
夕紀が怖がったので、ローションをいつもより多めに出す。たしかに、朝から激しくやりすぎた。
「夕紀が入れてって言ったんだよ」
朝の夕紀は積極的だった。
「…わかってます」
ローションが穴にかかると、そこを指でなぞった。
「んん、」
くちゅ、くちゅっと鳴る。
夕紀のそこは真っ白で、綺麗だった。
全然使ってない証拠。