触って、七瀬。ー青い冬ー
第11章 薔薇の蜜
《…伊織》
七瀬が俺に縛られ、そう呼ぶ声を想像するだけで射精できそうだった。
七瀬のなく声が聞きたい。
白い肌を撫でたい。
腰を震えさせてイク、いやらしい身体の中に注ぎたい。
「あぁっん、いい、いおり」
伊織、という言葉に反応してしまう。
「っは、はぁっ…」
腰を打ち付けると、千佐都は喜んで締め付けるし、俺のちんぽも喜んで中を擦り上げて、まんこに擦られていた。
気持ちよかった。
でも、それだけ。
「いっくぅ、ああん、伊織」
千佐都の頭は馬鹿になっていて、
突かれる度に喘ぎまくる。
「んああっ、んああっ、いくぅ、いく」
「いけよ」
「っは、はぁ、いっ、い、くっ…」
ぎゅうっ、と中が締め付けた。
そして、びくん、びくんと痙攣してちんぽをおいしそうに擦る。
「っは…」
これだけは、忘れられない快感だ。
子宮の中に精子を注ぎ込む、
まるでお前は俺のものだと教え込むようなこの瞬間。
「あ…あ、あ…」
びゅー、と中に出した。
「んっんんっ、んっ、ん…」
白い液体が、穴から溢れ出る。
「っあ、あ…あ」
千佐都は爪先立ちになって、
窓の外のことも忘れて、
よだれを垂らして精子を味わっていた。
「は…は…ぁ、あ」
締まるまんこは最高のオナホだった。
それでも、俺はやっぱり七瀬が良かった。
オナニーじゃない、二人のセックスがしたかった。
「伊織、私はあんたのオナホじゃないから」
「わかってる」
いや、二人のセックスなんか俺はしたことがない。知らない。
この間のは、やっぱりオナニーだったのかもしれない。
七瀬が嫌がっていても犯した俺は、
ただの独りよがりだった。
七瀬は、どんな奴とセックスするのだろう。どんな風に愛し合って、どんな風に大好きと言うのだろう。
《 俺のこと、大好きだって 》
その相手がまさか、自分の兄だとは。
吐き気がした。
俺がこれほど望んでいるものを、
兄貴は簡単に、容易く自分のものにしてしまった。小さい頃からそうだ。
最悪だ。
最悪だ
「最高だった!」
眩しいライトに照らされて、
笑顔で見つめられて、
おいしそうなドリンクが次々手渡される。
「本当に素晴らしい歌声ね」