触って、七瀬。ー青い冬ー
第12章 赤糸の行方
「あぁ…は、はぁ」
頭の中が、じんじん痺れていた。
「何、で…」
なんで僕はこんなところにいるんだっけ。
そして、この立花という奴の存在が、
記憶の中にあるような気がしている。
「何で坊ちゃんがここにいるか、って?」
立花は僕のシャツのボタンを外していった。
「は…は…」
胸のあたりがまだ快感に浸っていた。
「確かめるためさ」
する、と立花のごつごつした手がはだけたシャツの隙間から脇へ伸びる。
「ふ、あ」
確かめる?
「坊ちゃんが隠し持っているものを」
立花は僕のベルトにも手をかけた。
「僕は…何も…」
こんな風に捕らえられる理由が何なのか、わからない。
「坊ちゃんすら知らないだろうねぇ、
その在処は」
立花は僕のベルトを外すと、パンツの中に手を忍ばせた。
「あ、あ…」
僕のそれは固くなっていて、
立花の手が上下にしごく。
「あああっ、はぁ、あぁっ」
擦られているだけなのに、初めて触った時のように気持ちよくて、腰が逃げようとした。
立花がひひ、と歯を見せるのは、僕のことわ笑っているのだろうか。
「こうして先端を捏ねてやるとなぁ」
立花は横に流した長い前髪を耳にかけ、
僕の先端をぐちゅ、ぐちゅと手のひらでいじめた。
「あっ、あっあぁ」
僕の体は喜んでいた。
立花の指に擦られる度に、
甘えるような声が出てしまう。
立花は僕を馬鹿にするような目で笑った。
「坊ちゃんは相変わらず、
甘えん坊やなぁ」
相変わらず、なんて言われる筋合いはない。
一体何なんだ、この部屋は、
建物は、後ろに立って見ている連中は。
「は、なせ」
僕は腕を強く引いた。
でも、鎖が音を立てるだけだった。
立花は狐のような目で僕の赤く染まった顔を覗き込んだ。
「こんなによがって、
今更何を言うてんの」
立花の口調は妙に鼻に付く。
「う、るっさい」
立花は、格好だけは随分立派だが、見た目からして僕よりそれほど年齢が上にも見えない。
「っん、く…」
僕は唇を噛んだ。
これ以上、大人しく好き勝手に遊ばれてるわけにいかない。
早く、この状況から脱しないといけない。