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触って、七瀬。ー青い冬ー

第12章 赤糸の行方




冷たいコーヒーは、喉を潤して
体を冷やしていった。


グラスを傾けて、一気に流し込んだ。



「…ああ…」


濡れた唇を手の甲で拭った。





どれだけ飲んでも足りない。



もっと、甘いものが欲しい…


今までは甘いものが大嫌いだったのに、


今は甘い味が欲しくて、


まだ喉が渇いている。




…麻薬のようにフラッシュバックする。


一度その味を知ったら、忘れられなくて

離れられなくて

いけないとわかっていても

気づいたら手を伸ばしている




依存していると気づく頃には

もう抜け出せなくて




俺はまた、
その大きなベッドに目を向ける。


冷たい真っ白な床に、裸の足を踏み出す。




もう一度だけ…



七瀬がそこに眠っていた。


俺がこうして、その寝顔を見つめているとも知らずに。




「…はぁっ…、はぁ…」



何故、こんなに息が荒くなるのだろう。


ただ、触れようと手を伸ばすだけで。


それはきっと、既に頭が分かっているからだ。


好きなだけ、触れてしまえる。


今なら、好きなだけ味わえる。



何日も、何日も隠されていた大好物が

さあ、どうぞと
目の前に出されたみたいだ。



触れてしまえ。



「っ…」


俺は黒い布を引っ張り出して、
縦に細く伸ばした。


触れてしまえ、好きなだけ



七瀬の目に布を当て、頭の後ろで結んだ。


白い手首も、布で縛ってしまった。



「はぁっ、はぁ…」


縛るというその行為が、俺にとっては


自分の敏感な場所を擦られるよりも
ずっと官能的で、



「はぁっ、はぁ…」


縛ってしまった、
自分の好きなようにできると確信できた
その瞬間、


絶頂してしまいそうな程の快感が
全身を包む。


「っはぁ…」


快感と興奮で、熱い息が漏れる。



「…しょーた…さん?」



構わない、
君の口からどんな名前が出てこようと。


今、君の身体は俺のものだ



「んっ…」



その唇に、自分の唇を重ねた。


「っふ…」


七瀬の口から息が漏れる。

そう…これだ、この味だ。



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