触って、七瀬。ー青い冬ー
第13章 愛の嫉妬
これは滅多にないチャンスなんだ。
僕が、女の子とでもやっていけるという
証拠をつくるための。
そして、僕はこの子を好きになって、いずれ付き合うかもしれない。
そうなれば、僕は翔太さんとも、
…高梨とも、おさらばできる。
何の後悔もせず。
ただ、問題は、僕は全く彼女に性的な魅力を感じないということだ
全く…何一つ、興奮しなかった。
悲しいほど、気の毒なほどに。
「だ、して、だしてぇっ」
そんな風にお願いしなくとも、
僕の身体は正常に反応している。
挿入した穴の締め付けと、
子宮の入り口の吸い付きに、
きちんと射精する準備はできている。
素晴らしい、僕は子供を作れる。
でも、それがなんだ…
「でる、から…」
「中に、中に出してぇ」
「だめ、だめだって」
「なか、なかぁっ」
彼女は僕の首に抱きついて、
足を絡ませて離れなかった。
「あっ、あ…いっ…」
ああ、気持ち悪い
「はぁあっ、あ、きてるぅ…」
女の子って…いいな、
ちゃんと、精液を受け取るための器官があって。
でも僕は、別のとこを代用するしかない。
そして、
それは生殖行動でもなんでもない。
僕がしてきた行為に何か言葉を当てるとすれば、それは性欲の処理、なのか…
それとも、生殖目的じゃない、僕のこの行為も、ただの性欲の処理なのか…
「あ…あ…」
でも、通じ合う愛さえあればそれは、
生殖目的の有無にかかわらず、
愛情表現になるんじゃないか。
いや…
今までの僕の行為に、
通じ合った愛なんてあっただろうか。
香田千尋、
立花薫、
葉山秋人、
高梨翔太、
高梨伊織
相愛なんて、あっただろうか…
………
「お疲れ様」
「…あの、こんなこと、本当にしていいの…?」
「いいのよ。あなたは本気で七瀬夕紀が好きなんでしょ?」
「…うん」
「それなら、なんの問題もないわ」
「でも…」
「はい、お礼」
「こんなに…」
「今後、色々と必要になるでしょ」
「でも、あの、やっぱり…」
「やめる?残念ね。今を逃したら、次はないわよ」
「っ…」