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触って、七瀬。ー青い冬ー

第13章 愛の嫉妬




「友達…って言っていいのか、よくわからないんですけど。

でも、少なくとも周りからはそういう風に見えていたと思います。

でもそうなるまでに、僕はその人があまり好きじゃなかったんです。

だけど、彼は僕から離れなかったんです」








「Highly sensitive person?」


僕達が仲良くなり始めた頃のある時、高梨が口にした。


「または、HSPとも言うらしい」


高梨は、いつものようにボールをゴールに投げて練習をしていた。


「意味は、とても敏感な人…だよね」


もしかして、そういう話なのか、これは。


「そう。
敏感っていうのには色々あるけど」

「た、例えば?」


うーん、と高梨はボールを腕で抱えた。


「人が気にならないことを、何故か気にしてしまうとか…。例えば、花火の音とか、本をめくる音、何かを書いてる音」


思っていた話と違ってよかった。


「大きい音だけじゃないの?」

「それは人によるみたいだけど、
聴覚だけじゃなくて、人の言動から心情を敏感に読み取るとか。

人と会話していると、どう反応したらいいかとか、相手の反応を考えすぎたりして疲れたり」

「…あぁ」


身に覚えがある。


「だから、世間話も苦手だとか嫌いなHSPもいるらしい」

「…へぇ」

僕は、人と話すのが苦手だった。
嫌い、だった。

相手が高梨だとしても、天気がどうとか、朝食がどうとかいう世間話は一番嫌いだった。

何故そうなのか、僕は考えたこともなかった。ただ、苦痛だった。


「だから、人付き合いを避けたり、一人を好んだりする。でも、一人でいると楽だからといって、孤独に強いわけでもない」


何故か、僕にとって今まで当たり前だと思っていたことが、こうして高梨に指摘されると、もしかすると他の人は違うのかもしれないと思った。

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