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触って、七瀬。ー青い冬ー

第13章 愛の嫉妬



なんで俺は、こんなとこで七瀬の喘ぎ声を聞いているんだろう。


「…は、…はぁ」

変な熱い息と、変な冷たい汗が出てきた。
ただ、電話越しの声を聞いているだけなのに。
早く切ってしまいたいのに。


「夕紀、ここもひくひくしてるよ」

「いやぁっ、っん、うぅっあ」

「ほら、擦るたびに締まってる」

「っはぁ、は、ああっ…」

「撫でるだけでびくびくしてる」

「っんん、んぅっ…んん」

「入れてほしいの?」



動悸がする。
何で俺は、こんなに動揺してる?
ただ、七瀬が翔太とやってるってだけで、
それは全然普通のことじゃないか。
今まで、受け入れていたはずだった。


翔太が、夕紀、と口に出す度に、
2人がそういう関係だってわかっていたのに。


「は…はぁ…」


俺は、荒くなる息を抑えながらその場にしゃがみ込んだ。

切ればいいのに、通話を切れないまま。

耳からは、まだ会話が聞こえてくる。


「翔太さ、あ、あっ、あ」

七瀬の声は、無条件に俺を昂らせる。

こんな状況なのに、
俺の股間は膨らんでいた。

「七瀬…」

頭の中に浮かぶのは、
真っ白く、引き締まった背中の筋。


滑らかに腰から曲線を描き、
張りのある柔らかな臀部。



くいっ、くいっ、と果てながら跳ね上がる、いやらしい腰の動き。



ふるふると震える桃色の足の指先と、

囁くと真っ赤に染まる耳、


灰色がかった色素が薄く、癖のない髪。


膨らんで真っ赤に反り立ち、
びくびくと跳ねる陰茎、


しっかりした胸板にピンと勃起した突起。


その先端を爪で擦ると漏れる息、



舌先で転がせば首にしがみつき、



強く噛めば泣いて俺の名前を呼んだ。


その首筋にキスをする時、
抹茶の香りが鼻を抜ける。


「は…ぁ、ぁ」


自分の口から漏れる息は、きっと、
いつものあの発作によるものだ。

発情した、欲求不満の犬のように、
目の前の雌に自分の腰を振り打ち付けることしか頭にない。


「っあぁ、ひっ、ひぁあっ、くっ、あ」

「っ…」


ギリ、と歯ぎしりをして、
親指の不揃いな爪を隠すように手を握りしめた。


噛まない、噛まない…


我慢しようとするほど、何かを噛まないと気が済まないような気がしてくる。

ぐっと握りしめた手に、爪が食い込んだ。


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