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触って、七瀬。ー青い冬ー

第14章 神の告白







あの、高梨との電話の日、僕は確実に、
翔太さんから離れようとしていた。


翔太さんに甘えているのが、
…違う誰かを忘れるために一緒にいるのが、とても申し訳なくて。

でも、翔太さんがあんなことを言うから。


「やっと気付いたのに」


恋愛を知らない翔太さんが、
初めて知ったと言ったから。


だから、
翔太さんといようと決めた。

僕が誰かに求められるなんて、
そんな幸せなことはない。

誰かが僕に手を伸ばすなら、
僕はその手を掴まずにはいられない。


でも、高梨と繋がっている電話の最中、
翔太さんは、僕に聞いた。


「本当に俺のことが好き?」



「俺から、
絶対離れないって約束できる?」


翔太さんは、きっと、僕が好きだったという“友達”の前で宣言して欲しかったのだろう。

だけど僕は、言えなかった。


本当に好きで、この先もずっと
一緒にいたい。

きっと、どんなことがあっても、
その手を離したりしない。



そういうことを、翔太さんの目を見て言えなかった。


その電話が繋がっていなかったら、
きっと僕は、言っていた。

でも、その電話の前では言えなかった。



【愛してる】


なんて言ったことはあるのに、
その言葉の意味を、僕は知らなかった。

翔太さんも、知らなかった。


そして、
翔太さんは目を逸らした僕に言った。



「…嘘、だったんだね」



「ひどいよ」





僕は、ベッドの上に残されてしまった。


翔太さんが居なくなって、僕はどうしたらいいかわからなかった。
とても寂しくて、不安になった。

僕は、また1人になってしまった。


電話はまだ繋がっていたみたいだった。
切ろうと思って電話を取った。


“…そうか、お前は俺のことが…”


そのスピーカーから聞こえたのは、
香田の声だった。


なんで2人が一緒にいるのか、全く見当もつかなかった。
でも、その香田の言葉で、なんとなくわかってしまった。


そういえば、高梨が怪我をしたあの試合の日、香田は高梨に何かを言っていた。

「俺が…下手くそだって」


高梨は、何かを隠しているみたいだった。

もしかすると、高梨はあの時から、
香田が好きだったのか…

でも、なんで…







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