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触って、七瀬。ー青い冬ー

第14章 神の告白



…帰ろうか。

粉雪が舞っていた。

こんなに綺麗な雪も、僕の最悪な気分をかえることはできない。


眩しいイルミネーションで彩られた街は、
僕には少し滑稽に見えた。


僕はここにいる理由がなくなったので、
大人しく帰ることにした。


帰るのは、翔太さんの部屋でも、
追い出された家でもない。

僕は既に荷物を持って、ホテルに移っていた。しかし、ホテルに泊まるのも金が要る。

この先、バイト漬けになるか、それとも他に居候させてもらえる場所を探すか、
早急に決める必要がある。


「クリスマスなのに、なぁ」


後ろを振り向くと、大きなツリーが僕の前に立ちはだかっていた。
頂上に乗っかっている大きな金色の星も、
なんだかやる気がなさそうだ。

お前、一応頂上にいるんだから、
もっとこう、輝いとけよ。
と、喝を入れたくなるような。


こんな風に放浪しつつ、
僕には一応、考えがあった。


僕をわざわざ捕まえて、仲間にしようとした奴らがいた。

その組織の表向きのリーダーは、
立花薫という名前だった。

そいつは僕に、本当の家族に会わせてやるといった。

その本当の家族が本当なのかわからないが、とにかくその人達に頼めば僕はとりあえず身を落ちつけられるのではないか。


これは完璧な計画だ。

問題はその立花薫が何故、
本当の家族というのを知っているのか。

それを僕に教えることにどんなメリットがあるのか。

僕はどんな代償を要求されるのか。


見たところ彼らは犯罪なんていくらでもやっていそうだし
危ない組織であるのは明確だった。


でも何故そんな立花のいうことをここまで信じているかといえば、
それしか方法がないから。

あいつに頼るしか
僕の生きる術はないからだ。


さて、立花薫はどこにいるのだろうか。

逃げた魚が、わざわざ捕まろうとしているなんて、立花も考えてはいないだろう。



…この違和感はなんだろう。

捕まる前から
立花薫を知っているような気がするのは何故だろう。

あの変な喋り方と
狐のような表情に見覚えがあるのは…



「…気のせいか」


今考えるべきなのは、奴をどうやって探すか、だ。


翔太さんが僕を助け出したんだから、
僕が捕まった建物の場所くらい知っているかもしれない。

でも翔太さんに聞くなんて…


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