触って、七瀬。ー青い冬ー
第14章 神の告白
まあ、誘いを断るには都合が良い。
「もう21時半だし、雪で電車もないし」
そういうと、その人は頭を下げて僕に頼み込んだ。
「お願いします!どうしても今日は一人でいたくないんです。
俺、恥ずかしながら
彼女どころか友達もいなくて。
一人は嫌なんです。ダメですか?」
「あー…、その気持ちはよくわからんですけど…」
うん、よく分かるよ
「お、俺っ…毎年一人で…。
本当に寂しくて辛いんです。
お願いします…少しだけ…
15分でも構わないので」
15分でも良いって…
「あの、とりあえず頭あげてください。
目立ちますから」
「あ、すみません…」
そんなに嫌なのかな、一人が。
僕はいつもどおり一人を楽しもうと思っていたけど。
ここまでして誰かといたいなんて
ある意味尊敬するな。
「15分でもいいんですよね」
この人、そんなにモテないようには見えないのにな。
「は、はい!本当にいいんですか!?」
その人はぱっと声を明るくした。
「い、いいです、けど…」
「じゃあ、行きましょう!」
「へっ?」
その人は僕の手を引いた。
「あの、どこに?」
「カフェです」
そう言った通り、近くのカフェに二人で入った。