触って、七瀬。ー青い冬ー
第3章 男子高校生の性事情
自分の声が流れたのか、今?
あの時の声が全部録音されてる
というのか!?
「けせけせけせけせけせけせ
今すぐ消せ!」
「やだよー」
高梨がスマホを頭の上で振った。
「この…野郎」
手を伸ばしても、届く気配がない。
「消してほしいの?」
「けせ…今すぐけせ」
「じゃあこれ」
高梨はスマホの電源を切ると、鞄から茶色い封筒を取り出した。
「なに」
「あげる、はい」
高梨が僕の手に押し付けた。
「なんだよ」
封筒を開けると、耳栓みたいなものが入っていた。
「なにこれ」
「出してみ」
それを取り出すと、なにもなかった。
ワイヤレスイヤホンみたいに見える。
「え、くれんの?」
「ちげーわ。それから音しない?」
「え?しない」
「耳に当てたら聞こえるかも」
ワイヤレスってどんなものだろう。
持ち主が音がするというので、とりあえず耳に当ててみる。
ぶるるる
「んなっ!?」
耳からとって投げ出した。
「おっと」
高梨はそれをキャッチした。
「なん、なんなんなん」
耳を抑えた。イヤホンが、急に震えた。
耳がじんじんする。
「そんなに良かった?」
「良くない!最悪!」
「涙目になってる」
高梨が僕の顔を覗き込んだ。
「お前のせいだ!」
「さらにそれ、遠隔操作できる」
高梨は、鞄から黒い四角いものを見せた。
「なにそれ」
「遠隔操作用のリモコン」
高梨が僕の耳に、震えた耳栓をまたはめさせようとする。近づけられた腕を払いのけた。
「やだやだやだ絶対やだ!」
高梨はふうん、と言って僕の頭に手を置いた。
「じゃああの声消さなくていい?
サイトにあげたら大きいお友達が喜ぶな〜」
高梨は満面の笑みを浮かべた。
その手は僕の頭を子供のように撫でている。
「この野郎」
「どういたしまして」
…
ー行き、電車が…
耳にはめた忌まわしいものは、
僕の周りの音を聞こえにくくした。
「七瀬、そんなに掴むなよ」
高梨の服の袖を握りしめていた。
いつあの震えが僕を襲うのかわからないと思うと、怖くて仕方がない。
周りには帰宅ラッシュでサラリーマンやらOLやらが大勢いる。きっと満員だ。
「…やめない?」
藁にもすがる思いで、高梨を見上げた。
「だーめ。これは遊びじゃないんだぞ」
「完全に高梨の遊びじゃん」
「それは否めないな」
あの時の声が全部録音されてる
というのか!?
「けせけせけせけせけせけせ
今すぐ消せ!」
「やだよー」
高梨がスマホを頭の上で振った。
「この…野郎」
手を伸ばしても、届く気配がない。
「消してほしいの?」
「けせ…今すぐけせ」
「じゃあこれ」
高梨はスマホの電源を切ると、鞄から茶色い封筒を取り出した。
「なに」
「あげる、はい」
高梨が僕の手に押し付けた。
「なんだよ」
封筒を開けると、耳栓みたいなものが入っていた。
「なにこれ」
「出してみ」
それを取り出すと、なにもなかった。
ワイヤレスイヤホンみたいに見える。
「え、くれんの?」
「ちげーわ。それから音しない?」
「え?しない」
「耳に当てたら聞こえるかも」
ワイヤレスってどんなものだろう。
持ち主が音がするというので、とりあえず耳に当ててみる。
ぶるるる
「んなっ!?」
耳からとって投げ出した。
「おっと」
高梨はそれをキャッチした。
「なん、なんなんなん」
耳を抑えた。イヤホンが、急に震えた。
耳がじんじんする。
「そんなに良かった?」
「良くない!最悪!」
「涙目になってる」
高梨が僕の顔を覗き込んだ。
「お前のせいだ!」
「さらにそれ、遠隔操作できる」
高梨は、鞄から黒い四角いものを見せた。
「なにそれ」
「遠隔操作用のリモコン」
高梨が僕の耳に、震えた耳栓をまたはめさせようとする。近づけられた腕を払いのけた。
「やだやだやだ絶対やだ!」
高梨はふうん、と言って僕の頭に手を置いた。
「じゃああの声消さなくていい?
サイトにあげたら大きいお友達が喜ぶな〜」
高梨は満面の笑みを浮かべた。
その手は僕の頭を子供のように撫でている。
「この野郎」
「どういたしまして」
…
ー行き、電車が…
耳にはめた忌まわしいものは、
僕の周りの音を聞こえにくくした。
「七瀬、そんなに掴むなよ」
高梨の服の袖を握りしめていた。
いつあの震えが僕を襲うのかわからないと思うと、怖くて仕方がない。
周りには帰宅ラッシュでサラリーマンやらOLやらが大勢いる。きっと満員だ。
「…やめない?」
藁にもすがる思いで、高梨を見上げた。
「だーめ。これは遊びじゃないんだぞ」
「完全に高梨の遊びじゃん」
「それは否めないな」