触って、七瀬。ー青い冬ー
第14章 神の告白
「それだよ。
あの電話は何?
翔太は?なんでお前は泣いてたの」
翔太さんからの連絡はない。
僕からも連絡はしていない。
「翔太さんとの最後の思い出づくり?みたいな。死ねって言ったのは…」
そうだ、高梨は香田と一緒にいたんだ
「香田がいたから」
「それは誤解で…いや、香田はいたけど」
「まぁ…こっちも色々あったから。
その件については深く考えないで」
「いやいや、死ね言われて深く考えないとか無理だわ」
「だから本気で言ったんじゃないって」
「本心って言っただろ!
本気じゃないにしても死ねは良くないだろうが!」
「本心…だけど」
「やっぱり本心かよ」
「傷に岩塩塗り込まないでよ!
とにかく話は終わり!さようなら!
メリークリスマス!」
「言い方が全然メリーじゃねぇよ」
「とにかく終わりだから!」
「傷…って、翔太とどうなったんだよ」
《ひどいよ》
ズキ、と痛いところが疼いた。
「どうなったって…そもそもなんで翔太さんのこと知ってるの」
「…言ってなかったな」
「何が?」
「兄貴だよ」
「は?」
「本名は高梨翔太、俺の兄貴」
「え、待って待って
聞いてないよ聞いてないって」
あの人が高梨に似ていたのは、気のせいじゃなかったのか。
「言ってないからな」
「じゃあ…翔太さんから何か言われた?」
「いや、何も」
「嘘つくなよ!
絶対何か言っちゃってるよあの人!」
兄に貴方の弟の方が好きですって言っちゃったよ!
「それよりやってる時に電話したことは何も思わないんだな」
「は…」
「お、やっと恥ずかしくなってきた?」
「な、な…何で切らなかったんだよ!」
「何でだろうなぁ、俺もわかんないわ。
てか、かけてきたのお前らじゃん」
「かけたのは翔太さんだから!」
「へーえ、その割に声全然我慢してなかったみたいですけど」
「してたわ!てかもうその話すんな!
さっさと帰れ!」
「…もしかして、これが最後のつもり?」
「最後って?」
「俺と会うの」
「…うん」
そのつもりだった
…のに、全然準備できてない。
別れる準備が。
こんな風に言い合っているのは
なんでだろう
「僕、本当の家族ってやつを探しに行こうと思うんだ」
「本当の…?」
「そう」