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触って、七瀬。ー青い冬ー

第14章 神の告白



「立花薫の連絡先、教えて」


「本気か?」


「だって、それしか方法がないんだよ。
僕が生きていく方法が」



高梨は僕の目を見た。

この目とも本当にお別れだ。


僕は悲しくなかった。

また一人になるだけだ。
別れには慣れているから


「お前は結局、翔太に振られたのか」


「…そうだね」


クリスマスはまだ終わらなかった。
人々はもう、帰路についている。


「好きだった?」


誰を?



「うん、好きだったよ」




高梨は僕を抱きしめた。



「もう一個、言ってなかった」



「うん」




高梨は僕の目を見た。


「ちょっと来い」


高梨は僕の腕を引いた。

また、早足で、僕のことなんか忘れてるみたいに歩いていく。


高梨はあのクリスマスツリーの前に立った。


「あの星、子供の頃欲しくて兄貴にねだったんだけど…」


「かわいいね」


「あいつ、一回ダメって言ったくせに
結局、俺のためにバイトまでして
あの星取ってちゃったんだよ」


「いいお兄さんじゃん」


「どこかだよ。大嫌いだ」


「翔太さん、良い人だよ」


「…知ってる。だから嫌いだ」


「わがままだね」


「そう。俺はわがままなんだよ。
だから、もう一個欲しい」


「あの星?僕は取れないよ」


「そうじゃない、何でわかんねぇんだよ」


「高梨さあ、言うことが遠回りすぎるんだよね」


「じゃあ簡単に言う」


「うん」



「…」


高梨は僕の手を取って、指を絡ませた。
指と指が重なり合った。


「これからもずっと七瀬の隣にいたい


好きだから


でも一緒にいると我慢できないから


たまに押し倒すかもしれないけど


でもなんとか我慢するから


一緒にいたい」






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