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触って、七瀬。ー青い冬ー

第15章 指先の快楽




「八つ当たりは良くないと思うけど」


「…俺は」

高梨は僕の手首を強く掴んだ。
痛くて口が歪んだ。

「俺は何週間耐えてたと思う?
最後にしたのはいつだ

俺はずっと辛かった
毎日隣にいるのに目すら合わせられなくて

冷たくされるほど欲が溜まっていった


触りたかった


縛ってめちゃくちゃに犯したかった
毎晩自分を慰めて想像してた
授業中もずっと勃ててたよ

お前の耳とか首筋とか
制服でも体のラインが綺麗に見えて
想像して馬鹿みたいに膨らませてた

なぁ、知らなかったんだろ?

苦しかったんだ
見せてやりたいよ
俺がどんな風に一人でやってたか
笑えるくらい何回出しても終わらなかった

早く泣かせてやりたいよ
失神してもやめてやらない

好き勝手にしていいって言ったのはお前だから

何回イっても泣いて頼んでもやめない

その泣き顔が最高にそそるんだよ
お前には分かんないと思うけど
俺には最高の煽りなんだ

それがこんなとこでお預けくらって
落ち着いてられるか?」


高梨が僕に詰め寄って聞いた。


「…僕だって、僕の方がずっと苦しかったよ」


「ずっと。知らないのは高梨の方だよ
僕は恋とか愛とか知らなかったんだ

そういうの馬鹿みたいだと思ってたし
恋愛なんて気休めだと思ってたよ

でも高梨がさ…
高梨の手とか目とか知っちゃって
そしたらなんか苦しくなって

知らないことばっかりで

高梨は木村さんと付き合ってると思ってたから

それに僕は…僕は男なんだし
高梨のこと考えるのはいけないと思って
考えないようにしてたのに

高梨が僕で遊ぶから
僕は高梨を忘れようとしてもどんどん
体に染み込んでいって
焼き付けられていって

もう高梨がいないと生きていけないって
翔太さんといたのも…」


「翔太さんが高梨に似てたからで」


「全部高梨のせいだ
僕はずっと苦しかったんだよ
僕だってずっと辛かった

あの電話の日だって

翔太さんを傷つけたのも
翔太さんが離れていったのも
僕が一人になっちゃったのも
全部高梨のせいだから

僕がそんな時に高梨は香田が好きだとか
言ってて」

「それは誤解だっつの」

「それで僕がどれだけ苦しんだか
知らないんだろ

僕はあの日から本当に一人になった

僕には頼る人がいなくなった」

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