触って、七瀬。ー青い冬ー
第15章 指先の快楽
ふっ、と高梨の笑う声が耳元で聞こえる
「もう気持ちよくなったか?
随分簡単に負けたなぁ」
「気持ちよく、っない…」
「そう?お前の腰動いてるけど」
「あ…、あ、ちが、あぁ」
ぐり、と押されると勝手に動いてしまう
「もっと気持ちよくしてやるよ」
高梨はそう言って僕の前の方を握った
「あ、やだ、いまだめ…」
「だめ?」
高梨が耳元で囁く
「う、ぅ…」
ダメ…耳はダメ
「七瀬、擦っちゃだめ?」
低い声が腰にくる
高梨の手が前を握っていて
その手を動かして欲しくて腰を動かした
「っあ、らぁ…め、」
「腰動かすな」
ぱん、とまた叩かれる
「っいた…」
腰をなんとか止めようとする
でも動かしたくて足が震えてる
擦りたい、擦りたい…
「擦ってやるよ、
きちんとおねだりできたら」
高梨は悪魔だ
「こすって…あ、あ」
後ろの良いところに当たってる
腰が勝手に動きそうになる
「ちゃんと言って」
「こすって…くだ、さい……いおり…」
言いたくない、こんなこと
それでも僕は負けてしまう
「やっと言えたね、夕紀君」
「っ…」
《夕紀君》
優しい声が重なった
思い出してしまう
何も知らなかったあの頃の自分を
高梨には全て見透かされている
この感覚が小さい頃から大好きで
体に刷り込まれてる
気持ち良いなんて認めたくない
まだ、僕は良い子でいたかった
「これ好き?」
ずり、と一度だけ擦られた
「っあぁ」
「嫌い?」
また一度、ずり、と擦れる
「はぁ、あ」
「言ってよ七瀬」
言うわけない、言えるわけない
「七瀬」
気持ちよくなんかない
先生なんか知らない
「…き、きらい、嫌い嫌い嫌い」
「…へーえ、それは残念」
しまった、これじゃ誘ってるのと同じだ
高梨は普通じゃない。
嫌がる程喜ぶ、そういう奴だから
「これ、嫌いなんだ?」
ずり、ずり、ずり、
「っあ……く、…あ」
「何で声出してんの?
嫌いなんでしょ?」
ずり、ずり、ずり
「…っ」
今更、何を隠そうとしてるんだろう
「い、や…」
お腹の中に入ってるそれも
僕を握っているその手も
全部欲しくてずっと夢に見て
夢の中とは比べものにならない程甘くて
頭の中、真っ白