触って、七瀬。ー青い冬ー
第15章 指先の快楽
香田は舌打ちをして三刀屋を睨んだ。
「っ…仕方ねぇだろ、頼まれたんだよ」
三刀屋は自分より一回りデカイ男に睨まれ、
不本意にも高梨の後ろに隠れてしまった。
一方高梨は眉を寄せた。
「頼まれた?誰に」
香田は目を逸らした。
「あんなとこで働かされるとは思わなかった」
「…どういう意味だ」
「いい女の趣味してるよな、
どーせ遊びまくってんだろ?」
香田は呆れたような目で言った。
「は?」
「試合開始します、そこ、ちゃんと整列しなさい」
仕方なく整列し、挨拶をする。
「よろしくお願いします」
…
「うーわ、見て、
朱鷺和の人すごいかっこよくない?」
「あー、高梨伊織でしょ?前の学校にいた時もバスケ部で凄かったらしいよ。でも2年の夏に急に居なくなって、気づいたら朱鷺和に転校してたんだって」
「へー、あ、またシュート決めた」
「前の学校は強豪だったのに、なんで転校しちゃったの?それに、朱鷺和って超偏差値高いとこじゃなかった?」
「そこなんだよね…。なんでだろー。
でもバスケあれだけできて勉強もトップクラスであの見た目でさ、人生楽しいだろうね〜」
「本当、少女漫画の中の人じゃん」
「彼女はすっごい可愛いんだろうな〜」
「いや、意外と奥手で童貞とか」
「…なーいないない!」
「ないかー」
「またスリーポイント」
シュートを決めた高梨伊織が、こちらを見上げた。
「えっ、あれ?こっちめっちゃ見てない?」
高梨伊織は確実に自分を見つめていた。
「え、うそうそヤバイ」
「何、何でこっち見てんの!?」
彼はこっちを見上げたまま、首元のネックレスを持ち上げた。そこには白いリングがぶら下がっていた。それをこちらに見せたら、彼はふっと笑って呟いた。
「後で思いっきり泣かそ…」
…
「っ…」
ガクガクと震えている、下されたスラックスと黒いショーツに隠された足。
「何で勃ってたの?」
「っく、…っ!」
体育館の外壁に手をつき、
そこを後ろから犯される。
「も、人来るから…やめよ…」
「話逸らすなって」
なんで勃ってたのか、そんなの知らない。
ただ、色々思い出していたのは確かだ…
…
「っ…!今、みた?なんか言ってたよね、ねぇ」