触って、七瀬。ー青い冬ー
第16章 薔薇戦争
番がちょうどはまり、
僕の精液を搾るためだけにあるその器官に触れ、僕のそこは完全に翻弄されていた。
でも、ただそれだけ…
嫌だったのに、体が言うことを聞かなくて
「…何を思い出しているんだい」
「いえ…」
「その彼女のこと?」
「…」
「無理矢理されたんだろう」
「そう言ってるじゃないですか」
「どうして抵抗できなかったのかって、
そう考えてる?」
【出して、中、あっ、あぁっ!】
「男がレイプされるなんて…
誰が信じてくれるんですか」
レイプされるということ自体が
信じがたいことで
今までされてきた相手は男で
今度は女の子に
「私のせい、だな」
先生はいつもより気が小さく見えた。
最後に会った日は、あれほどはっきりと僕を突き放した先生は今はとても弱く見える。
「…どうしてそう思うんですか」
「どうしてだろうね。ただ、君を好き勝手に触ったり…してはいけない事をしてしまったり。
私が君に与えた精神的な影響は大きかっただろう」
先生は喉元を抑えた。
「でもあの頃とは違って君は大人で
君にはもう、私以外に頼れる人間がいる。
それが分かって安心していたところだったんだけどね。やはり、過去に犯した過ちから逃れることはできないね」
犯した過ち。
先生は僕の上にまたがったまま、僕を見下ろしていた。哀愁に満ちた、秋のような目だった。
「こうして上から、力づくでやられたんだろう」
先生は聞いた。
「…はい」
気分が悪い。
あの子の表情、体温、揺れていた胸の膨らみ…
気持ち悪い、吐き気がする
「先生、もうどいてください」
男のくせに、って
世界一嫌いな言葉だ
「君に暴力を振るった同級生もいた。
私が君としてしまった日は、君がその同級生に無理矢理飲まされた日だった。」
先生は何を考えてるんだ
「もう、忘れたいんです。
思い出したくない。…どいてください」
僕は体を起こそうとしたが、先生は僕の肩をベッドに押し付けるように僕を押し倒した。
「君に非はない。加害者が絶対的に悪かった。
相手の性別に関わりなく、君が逃げられなかったことを責めるつもりはない。誰が責めようと、
私が弁護しよう。
君が抵抗できなかったのは当然のことだ。突然、無理矢理押し倒されたら…
怖かっただろう」