触って、七瀬。ー青い冬ー
第17章 My Man
ゆき?
誰それ
高梨の手が徐ろに僕の腕を掴んだ
なんだ?寝ぼけてるのか
「ごめん…」
高梨は何かを謝った
高梨の手は机の下の僕の手のひらに移った
高梨は僕の手を少しさすった
心臓が未だ嘗てない速さで動いていた
自分の脳内に心拍音が響き渡っていた
何を…
「じゃあ次の段落から音読、七瀬から前に」
「あっ、はい」
ああ、本当に心臓に悪い…
僕はまだ寝ぼけている高梨を押しのけながら
教科書の文章を読み上げた。
「…そこで私は彼女に再開した。
彼女はまるであの頃とは別人のように見えた。
“初めまして”と彼女が笑ったので私は
故意に探し出したとも言い出せずどうも、と
ぎこちなく返すことしかできなかった。
何せ彼女はすっかり成長した17の女子高生だったのだ。それも顔立ちのはっきりとした美しい少女でー目も合わせられない程に」
する、と冷たいものが腿の上をなぞった
「っ…目も合わせられない程に。
それなのに彼女はすっかり私を忘れた様子で
無邪気に名前などを聞いてくるー」
冷たいのは高梨の手だった。
その手があろうことか、内腿に侵入してきた。
僕は足を閉じてその手が暴走しないように抵抗した
「聞いてくる。私は殆ど当てつけのように名前を彼女に教えてやった。すると彼女はやはりつれない顔で“素敵な名前”と百合のように笑うのだー」
高梨の手は馬鹿になったらしい。
僕の必死に閉じてある腿の間をこじ開けながら
僕の中心部分に向かって着実に距離を縮めている。
「私はその表情を見て不本意にも
またあの懐かしくも苦い感情を思い出したのだ。
際限なくー」
つん、とその手があの場所に触れた。
「ぁ」
小さな声は漏れた
ただ誰にも聞かれなかったはずだ
ふぅ、という息が耳のすぐ下にかかった
「っぁ、ありえないという事も承知の上だった…
彼女が私とのかつての記憶を思い起こすなど」
高梨の手は僕のそこをさすり始めた
もう確認しなくても分かる
随分反応して大きく膨れている
「んっ、際限なく…広がるこの感情に押しつぶされながら私は彼女との交流を深めていった。
は、っあ」
指が先端を制服の上から擦る
少し湿っている
甘い香りに包まれながら甘い刺激に体がよじれる
声だけが冷静に淡々と文章を読み上げる