触って、七瀬。ー青い冬ー
第3章 男子高校生の性事情
『い、嫌だ、あ、あ』
やばい、溢れる。
僕は香田の手から逃れようとして体をよじった。下が勃って苦しい。
暴れる僕を抑えている奴らが好き勝手に喋り始めたる。
『乳首だけでイクのか?』
『どんだけ敏感なんだよこいつ』
『純情ぶってえっろい身体』
香田は追い討ちをかけるように、突起を擦る指先を速めた。
『あっ、あっ、ああっ…い…』
熱い液が流れ出た。
頭の中が真っ白になった。
深い谷底に落とされていく。
僕をつなぎとめてくれるものはどこにもなかった。
僕は突然解放された。
『…うっ』
僕を押さえつけて立たせていた奴らの手が離れ、地面に倒れこんだ。
『解散』
香田が言うと、男達は僕を離れ、橋の下から去っていった。
香田は残り、地面に倒れこんだままの僕を見下ろしていた。
『はぁ…はぁ…』
僕は何も考えていなかった。
ただ、与えられた強すぎる刺激に、まだ身体が震えていた。
『…』
香田は何も言わず、何もせずただ立っていた。
僕は息を落ち着けて、上半身を起こした。
背中を、駐輪場のフェンスにもたれた。
はだけたシャツから、肌がむき出しになっていた。赤く腫れ上がっていた乳首はヒリヒリとしながら小さく収まった。
僕は射精したらしい。
股間に嫌な温もりがある。
『…何だよ』
香田は帰らなかった。
僕を見ていた。
僕はとても惨めに見えただろう。
抵抗しておきながら恥ずかしいくらいに感じて、射精までして、こんな風にやられた相手にボロボロになったところを見られて。
僕は自分から触れと言ったんだ。
香田はさぞかし満足しただろう。
どんな優越感が彼を満たしたのだろう。
香田の手が、僕の前に差し出された。
その中には僕の眼鏡があった。
僕は押さえつけられた時に眼鏡を落としていた。そうか、視界がぼやけていたのはこのせいだったのか。
しかし、香田が僕に眼鏡を差し出すなど、
おかしい。
また何かするつもりか。
僕は目を細めて香田を見た。
表情はよくわからない。
『これねぇと何も見えねぇんだろ』
『…何のつもりだよ』
僕は不審に思いながら眼鏡を受け取った。