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触って、七瀬。ー青い冬ー

第18章 白の孤城



「あんたは未成年なのを隠してホストやって飲酒もしてるでしょ。私は伊織を刺して殺しかけたり恐喝まがいのこともしてきた。わかってないなら言っておいてあげるけど、私達は犯罪者って言われても文句言えない身よ」

「…はぁ、俺らの人生終わったなぁ」

「私の人生まで終わったことにしないでくれる?
あんたと違って私はきちんと全部隠し通してこのまま人生順調に進めていく計画なんだから」

「…そんなことより、本当に約束は守ってくれたんだよな」


「約束?…あぁ、妊娠のことなら心配する必要はないわ。どうせ最初から本気じゃなかったんだし」

「お、お前今なんて!?」

「だから、あんたが協力者にするためにちょっとだけ嘘ついた。それは謝るわ、ごめん」

「はぁあああ!?」

香田の叫び声が響き渡った時、ぴくりと七瀬夕紀の肩が動いた。

「…何、?」


揺れたまつ毛の影が床に落ちた。


「あっ、七瀬!生きてたのか!」

ふう、と千佐都は胸を撫で下ろした。


「よかった、良いタイミングで起きてくれて」

「良くねぇ!まだ話は終わってねぇ!」

七瀬夕紀は顔をしかめて辺りを見回した。
なるほど、また捕らわれの身、ということか。

「…ちょっと静かにしてくれないかな。
今気分が悪いんだ」

それだけ言って頭を持たれた。

「そんなこと言ってる場合じゃねぇぞ七瀬。
これはお前の人生に関わる話だ!」


「だから、何の話なんだって」


「あなたが妊娠させたっていう例の女の子、
本当は妊娠してなかったの。それだけ」

「え、嘘…だよね」

木村千佐都は他人事のように淡々と答えた。

「ふん、今更嘘ついても…って、今までずっと嘘ついてたんだけど」

七瀬はまだ半信半疑という顔だが、困惑しながら聞いた。

「それで、それが本当ならなんで香田が怒るの。
関係ないじゃない」


「関係大有りだよ!俺が何のためにこんな格好してババア共の相手してたと思ってんだ?あぁ!?」


「何の話なんだかさっぱり…」

七瀬が鬱陶しそうに香田を見たので、
香田はそれに傷ついたような表情をした後に
千佐都を睨んで唸った。

「…わかった。最初から話せば満足?」


簡単に説明するとこういうことらしい。

木村千佐都は七瀬夕紀と幼馴染で初恋相手だった高梨伊織の仲を知った後、それを妨害しようと策を練った。

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