触って、七瀬。ー青い冬ー
第20章 歪形の愛執
「旦那様、何をしているんです」
こんな風に聞くのは意地悪だと思いつつ、
思うからこそ
「…ん…」
やはり甘えるように喉を鳴らすだけで
口にする気は無いようだ
こうしていつも折られる、理性の柱
「体が火照って、収まらない?」
「…」
抱きついたまま何も言わないのは、
5歳の子供がぐずついてるのと同じだった
「ここはあくまでもオフィスですよ。
公然猥褻で捕まったらどうするんです」
と、元々この子を犯し脅しの犯罪者が言う。
子供は屁理屈を言い始める
「は…しってにげ…る、」
舌が回っていないのはきのせいだろうか
「そんな体で走れますか。
第一恥ずかしいとは思いませんか?
こんなに股間をふくらませたままで」
膝で股間を撫でると
「うう…あ、はず…かし」
彼が後ずさりし、後ろにあったデスクにぶつかりもたれる。ついさっきまで社長が茶を飲んでいた。
「ああ、あなたの場合その方が良いですか。
人に見られて快感を得るのが趣味でしたっけ」
「ちがう…」
「そうですか、それは失礼しました。
では、お詫びに少し気持ちよくさせてあげましょうか」
デスクにもたれた彼の背に手を回し
また膝を股に割り込ませる
固いそれが膝にこすれている
「は、はぁ…んん」
モデルをやれと言われてすぐにできるだけのことはある。身長の割に股下が長く、腰の位置も高い
「…もう忘れましたか?ここはオフィスですよ。
誰が訪ねてきてもおかしくありません。
声は抑えていただけますか」
彼は素直に下唇を噛んだ
その仕草がまた色気を帯びていて
「…っう、ん、っんん」
そんな表情もいつか、色々なカメラマンに見せるのだろうかと思うと惜しくて
「突然濡れてきましたね。人が来るかもしれないと意識したら興奮してしまいましたか」
「っ…」
足を震わせながら、彼は顔を背けて俯いた
普段天邪鬼で何を考えているかわからない程であるのに、こんな時はわかりやすくて笑ってしまう
「図星、ですか?…筋金入りの変態ですね」
はあ、と熱いため息が反応する
「も…言う、な…っあ」
ただ黙っているだけで心を惹きつけるような宝石に劣らぬ美しさ
それが快感に歪むとき
その歪ささえも美しい
「あとどれくらい擦っていればいいですか?
そろそろこのビルも警備員が巡回に来ますよ」