テキストサイズ

触って、七瀬。ー青い冬ー

第20章 歪形の愛執


手招きをしてのこのこやってきた彼は佐藤君だ

すぐに、七瀬が体を熱くしてうずくまっているのを見つける

「…七瀬君?大丈夫?」

どう感じただろうか?
表情はまだ戸惑っている

これから彼の性癖を捻じ曲げられたらそれは
本望だ


「手首縛ってやって」

「え、縛るの?」

「そう、ガムテでいいや。前の棚にあるやつ」

「…」

佐藤君は黙ってしまった
俺がいじめを始めると思ったか、
今反対したらどうなるかと怯えているのか

佐藤君は恐る恐る床でうずくまる七瀬を見た


「…っふ、っぅう」


一度薬が回れば、立ち上がるのも辛い

そのかわり全身の感覚が敏感になって
腰の中心から得体の知れない湧き上がるような甘い電流がびりびりと体を痺れさせる

ちょうど正座に痺れた足をつつかれるのが酷い拷問に感じるように

この薬もそれを全身に起こさせる

与えられる刺激はいつも最大限の快感に変わって


見入っていた佐藤君は突然走ってガムテープを持ってきた

「…いじめじゃないよな」

「うーん、それは難しい質問だけど
やるかやらないかは君次第だよ」

佐藤君は迷った挙句、ガムテープを引っ張った

「失礼します…」

「後ろでね」

佐藤君は七瀬の手を背中に回して、
一本ガムテープで巻いた

「はぁっ、はあ、」

七瀬の息が荒くなる

「…」

見ていて不安になったのか佐藤君は手を止める

「もっと、ぐるぐるにして」

「も、もっと?」

「絶対剥がれないように」

潤んだ七瀬の目が俺を見た
違う、睨まれてる

死ね、殺す、の文字が浮かび上がってくる
殺気に満ちた反抗心とは裏腹に
体は動かないで薬に浸っている

長い足や白い脇腹を覗かせて

なんて気持ちが良いんだろう
そんな目で見られたら
もっと可愛がってあげたくなるじゃないか

猫を撫でるような気持ちだ

喉を鳴らして喜ぶ子にはもっと毛繕いをしてあげようか

「ほら、早く」

「わ、わかった」

佐藤君は言われた通りに何重にもテープを巻いた

「じゃあ、七瀬のバッグの中身全部出して」

七瀬が息を止めた

佐藤君が七瀬の高そうな黒いリュックを持ってくる

「ありがとう」

リュックを開けると、ノート、教科書、
筆箱が綺麗に整頓されて入っている

「あれ、これだけだったかなー」

七瀬を見ると、縮こまって目をそらされる

ストーリーメニュー

TOPTOPへ