触って、七瀬。ー青い冬ー
第20章 歪形の愛執
人が怖くて、身を守るために声を上げることすら
躊躇ってしまうんだらう
どれたけ浅い関係でも、自分から断ち切るようなまねはできないんだろう
全く関わったことのない佐藤君でさえ
やめろ、と言って突き放すのが怖いんだろう
「七瀬、気持ちいい?」
「あぁ、あ、い…んんっ、んっ!」
右足がピンと伸びる
七瀬の目の焦点が合わなくなって
上下に震える瞼がカメラのようにシャッターを切る
今すぐイきそうなその患部からローターを離す
「は…、は…」
糸が切れたように力が抜ける
「お預け、まだコッチ使ってないから」
もう一つ、大きいオモチャを見せた
…名前は色々呼び方があるが、女性用のディルドと機能的には同じと考えて構わないと思う
棒状で先端の丸い、少し波打ったものが
スイッチを入れると中の前立腺をマッサージするように振動しながら動く
「っ、はあ…」
七瀬が手を背中に縛られたままうつ伏せになる
もう従順になったのかと思ったが、
そのまま立ち上がろうとする
正確には、足が立つはずもなく床の上であがいていただけだったのだが
「こらこら、逃げない」
足首を掴んで引っ張っると簡単に引きずられる
「嫌だっ!嫌だあっ!」
足をばたつかせるので、佐藤君にも足を抑えてもらう
「何がそんなに嫌なの?自分で学校に持って来るほど大好きなんでしょ?」
スイッチを入れると全体が震えだす
その音に怯えるように逃げ出そうとする体が固まる
「もうっ、一ヶ月挿れてない!」
一ヶ月…それほど長い期間じゃない
むしろ一ヶ月前なら近いくらいだ
「慣らせばいいよ、痛くないようにするから」
八霧に挿れられた時は死ぬかと思ったが
七瀬は俺のような初心者でもあるまいし
「そういう問題じゃ…!」
「どういう問題?」
ポーチの中に用意されていたローションをたっぷり取る
「ローションもあるんだし…」
一雫、とろりと割れ目に垂らされる液体は
そこを一気に滑らかな口に変える
「っ…!」
背中に寄った肩甲骨の形
背筋の線が通った窪み
何処でついたのかわからない
いつのまにかしなやかな筋肉が詰まった腿裏
腰のくびれ
「…いい体」
思わず見惚れる
時間を忘れる
柔らかくて無駄毛が無くて
体だけ見たら男女の区別がつかない
…顔を見てもか