触って、七瀬。ー青い冬ー
第22章 白銀の砂
「紘さん」
七瀬夕紀が呼ぶと、紘は突然重い石のようになって体重を七瀬夕紀に預けた
「紘さん…」
ああ、死ぬのだ
と思いながら見上げる天井は、美しかった
七瀬夕紀の香りは甘いミルクのようだった
明日が有れば、その香りに癒されていたかったと思った
「…家族なんて、信じるなよ」
紘は言ってから、七瀬夕紀の肩に歯を立てた
「い"っ…あ"っ」
歯が食い込むと紘は思わず笑みを浮かべた
「最後の晩餐だ」
紘は七瀬夕紀に享受した
「せっかく俺が耐えて耐えて苦しんだのにな」
紘は金色の髪を耳にかけた
「愚弟にも程がある
義理にも
俺はあんたの兄貴だから自重したんだ」
巾着袋に入っていたのは、全て紘が愛用する玩具
誰かに使って息が出来なくなるまで狂わせてみたいと思い焦がれていた
2人で映画の中の濡れ場は全て実際に性行為が行われたものでそこに出てきた道具がその巾着袋に詰まっていた
見ていて正気を保つのは難しかった
それでもとなりにいたのは異母の弟だから
「…でも、もう相手があんたでも
十分楽しむ気でいる」
七瀬夕紀の腹に紘の硬くなったところが当たっている
「見たところ十分薬は効いてる」
紘は夕紀のタオルを払って熱い胸板に手を乗せた
探る手が、胸の突起を掠った
「っ!」
体はあの夜と同じように跳ねた
夕紀の目は少し怯えた
「…はは、あんたの乳首は何度触っても飽きなさそうだよ」
紘は大きい目をずっと細めて夕紀を見ていた
そんな目をしているのは今までにない
この細められた目が何を考えているのかは多分明白で、その目が向けられるのは決まって彼が精神的に興奮している時だ
「はっ、はぁっ!」
ぴん、ぴん
指は突起を荒く擦って倒されても勢いよく起き上がってより大きく固くなる
ん、と唇がそこを甘く噛んで
夕紀は恍惚の息を漏らす
たった少しの生温かさや滑りや擦れが
薬の作用で大きな快感に変わる
「はっ、はあ、はっ、はっ…ああ!」
舌先が速く先端を撫でて擦る
その舌のざらざらした感覚は今まで感じたものとは全く違って一つ一つの舌の表面の粒が気持ちよく、
痒いところに手が届くような
欠けていたピースを嵌めるような快感で
遺伝子に埋め込まれた何かが反応するような
圧倒的な快感だった