触って、七瀬。ー青い冬ー
第22章 白銀の砂
「ひ、っい…!」
噛み締めた歯の間から声と息が溢れる
紘の目は夕紀のぷっくりと勃ったそこと
荒い呼吸で上下する腹部を見つめた
今まで知らなかった
人の身体が繊細で、指一つで泣かせることも出来る
ということ
「…七瀬、俺感動してる。これ、面白い」
まるで何か新しいおもちゃを見つけた子供のように言った。
夕紀の方は何も頭になく、紘の指に翻弄される
紘は夕紀の限界も考えず無心に弄った
「あ、あぁ、まっ、て、ああ、いっ、いあ…」
夕紀が体に力を入れる
「あー、待って」
「へ…」
一瞬力を抜く
ヴーーーー
それは電動歯ブラシだ
「これ、あんたの執事がくれた奴。
俺のことよくわかってる。
あんたのこともだろうけど」
「いや、痛い、…!」
紘は夕紀の股間をタオルの上から軽く叩いた
「あっ!」
紘はほら、と諭した
「痛いのが好きかもしれないじゃない、
俺は嫌いだけど…あんたが泣けばなんでもいい」
歯ブラシは膨らんだ乳首に軽く押し当てられた
「あ"あ"あっ!い、いや、やっ、あ、
やだああああっ!」
決して痛いだけじゃない
「…元気だね、でも暴れないで」
紘は実験をするように観察する
夕紀は調節される振動の強弱に知らぬ間に夢中になる
「い、や、っあ、あ、…っ…!」
「わあ、ねえ、痙攣してるよ、ほら」
紘は乾いた声で笑った
足が震えた
紘のさらさらの髪は、汗に濡れ始めて
いつもの大きな目の眼差しはどこか投げやりだった
「はあっ、んっ、んううっう、ぐっ…」
それでも与えられる褒美はとても甘い
相手が兄でも仕事仲間でも同級生でも
気持ちいいものは気持ちいい
後で思い出してしまえばきっと後悔するに違いないことだった
「はぁ…ああ」
紘の手で感じる、そのたびに
どこからか湧いてくる罪悪感
これは何に対しての罪なんだ
「紘さ…待っ、て」
このままどこまで落ちていくか、恐ろしい
だけど、紘の後ろに広がるのは苺の花畑
僕らは丘の上にいて、夜明けに近い空は懐かしい海のように甘酸っぱい色で
どうせ現実もすぐに消えそうだ
「誘ったのはあんただよ、残念ながら
それに俺は今死ぬほど興奮してるから待てない」
紘はまたスイッチを押す
「今、良かった。…もう一回イけるよね」
ブラシの毛先は刺激的だった
「ん"ん"っ、!んんん"ーーっっ!!」