触って、七瀬。ー青い冬ー
第22章 白銀の砂
七瀬は息が苦しいようで肩を上下させていた
「薬の切れ始めは辛いよ
その時はまた足せばいいけどそうすると後はもっと苦しくなる」
七瀬は首を振った
薬はいらないということらしい
「…そう。なら健康志向でいこう」
もう我慢は要らない
一気に奥まで貫いた
「は、…ぁあ"あぁ"っ」
「は、あ…七瀬、あったかい」
七瀬は頭を両手で押さえた
「きっ、ついな、あんた…」
七瀬は誰より綺麗な顔で狂った
いやらしい声で悶えた
「っんん"♡ひっ…」
甘ったるい声はいつも必死で耐えていた
余裕がないそのよがり声が好きだ
「動くよ、そこつかまって」
七瀬は言われた通りソファの肘掛けに手を伸ばした
それを合図に腰を引いた
パン、と柔らかい尻の皮膚が音を立てた
「おっ…、き、紘さ…!」
肌が打ち付けられる音が大きく静かな部屋に響いた
七瀬のそこは奥をつくたび押し返すように強く締め付ける
腰を振りながらこの少年の上に覆いかぶさる日が来るとは思っていなかった
ただの血を分けてしまった不幸な仲間だと思っていた
それに突っ込んでここまで楽しんでいるというのは
俺は思っていた以上の悪い性癖を身につけていたようだ
「はぁっ…紘さ、」
そしてその性癖の由来も知っている
「…俺は兄貴だよ」
奥に押しつけて腰を深く落とす
七瀬の前からどろどろ白い液が流れた
「う…っふ…はぁあぁぁ♡」
唇を合わせたくなった
嫌な感覚だった
そうすべきではない相手に
抱くべきでない感情を抱き
感じるべきでないものを感じ
もっと、もっとと先へ進もうとする
腰は止まらない、頭は動かない
誰かが止めてくれないから止まるべき場所も通り過ぎた
「弟らしく俺を呼んでよ」
おかしな癖がついたんだ、いつからか
俺のせいじゃない
「ひろ、っにい…」
身震いする、交感神経が興奮する
毛が逆立って種を植えようとする
ああ、でもこいつは弟だ
「キス、しよう」
腰を止めて言うと
七瀬は顔を真っ赤にした
「嫌ならやめるけど」
唇は殆ど触れているが
七瀬は目を閉じない
「…やっぱり、いけないことだから」
たまに見かける芸術家の倫理への批判
どれだけ魅力的でも倫理に反したものを美しいということはいけないんだと
俺もそう教わってきた
でも、そうならば