触って、七瀬。ー青い冬ー
第22章 白銀の砂
そうならば
その倫理が正しくないかどうかは
あんたが決めることじゃない
俺が決めることだ
だから俺が決める倫理が俺の正義だ
俺が綺麗だと思うものが美だ
狂っていることが異常なことで
正しくないことなら
正しいことは誰が決める
普通じゃない、は誰が決める
普通は誰が決める
あんたにとっての普通は俺にとっての異常
おれにとっての異常があんたにとっての普通
人を殺すのはいけなくて
人を愛すのはいい
そういうなら
弟を愛すのはいけなくて
自分を殺すのはいいのか
ああいいさ
なんだっていい
「紘兄」
また身震いした
ただ俺はあんたに言いたい
俺が間違っていたとして、あんたに何の関係がある
俺が誰かを殺したとして、あんたに何の責任がある
すまないが余計な世話だ
俺が愛したい誰かを愛して、悪いことか
唇を合わせるとあの飴の香りがした
舌を入れると七瀬は唾を飲んだ
上顎を舌で撫でる
よく感じるようで中が締まった
舌を絡ませると林檎の味がした
七瀬に自分の味を覚えさせるのに必死で
七瀬が俺を押し返しても七瀬が唾を飲むのを何度も確認するまで舌を喉の奥まで差し込んでやめなかった
母さんとクソ親父と兄弟へ
それでも
俺はあんたらのことは愛せないし
俺も俺のことを愛せない
「…イきそ、七瀬、中で出していい?」
七瀬は紘の腰に足を巻き付け引き寄せた
そして、首に抱きついた
「紘兄の、感じながらいきたい…」
携帯が鳴った
「わかった」
七瀬の中に出す時、たまらない背徳感と
とんでもなく大きい快感が同時に襲った
七瀬は俺の耳に熱い息をかけながらイった
「は…♡はぁ…っ♡ひろ、にぃ…」
きゅ、きゅ、
絞り取る締め付けでまた、固くなる
「ごめん、あと一回だけ」
七瀬は息ができないから、と言った
でも構わず続けた
「…、ん、…くっ♡…んんっ…♡か、は」
どく、どく
これまでにこんなに心配に思ったことはない
まだ精子が足りないかもしれない
もっと、もっと注いでおかないとと
「あぁ、はっ…あ、あー…」
七瀬は息を整えるのに必死で少し待ってやらないといけなかった
「もう一回、」
七瀬が動けないようなのでうつ伏せに寝かせる
綺麗な背中が眺められ、美しい景色だった
力無い雌の無抵抗を利用して腰を打ち付けるのは
殆ど犬や猫と同じように感じた