触って、七瀬。ー青い冬ー
第23章 舞姫の玉章
ぐちゅり
「んぁ…!?」
熱い、これは口内か…?
いけない、兄は間違っているようだ
暗闇でよく見えていないのだろう
だって正気ならこんなところを口に入れるなどあり得ない
しかし、熱い舌がしっかりと形を確認するように撫であげる
ぐちゅりぐちゅりと濡れていくそこは
あまりの刺激にさらに腫れた
腰が砕けるようだった
足が震え始めた
何かがこみ上げてくる
後退りして、狭い倉庫の壁にぶつかる
逃げ場なく、兄の頭を抑えるが到底年上には勝てない
「兄さ、ぁ、あぁっ、待って、ま」
口は手で塞がれた
「見つかる、話すな…!」
拙い発音で兄は静かに怒った
また、無言でうなづいた
兄の手の酸っぱい匂いに《不純》という言葉が浮かんだ
「…っふぅ、ふぅ、ん、ふっ」
口を抑える手から熱い息が蒸気を上げた
ずりゅ、じゅ、ぐちゅ
「…ーーーっっ!」
「っんっ、ぐ」
確かに何かが出た
「ぁ、は…ーーーっ!」
身震いして、よろけた拍子にほうきを倒した
大きい音がして、ほうきは倒れた
「…ドゥラク」
サハルはそう言って、何かを飲み込んだ
「治ったか」
「…」
実を言うと、何も変わらなかった
しかしまあ、少しは治った気がする
「それなら、帰る」
そうして倉庫を出ようとしたが、
扉を開けると人が立っていた
「…サハル、イヴァン、何をした」
幸いなことに父ではなかった