
俊光と菜子のホントの関係
第9章 『勝手にジェラシってる』
「――ところでさぁ晃君、明里の具合はどう?」
私は明里の安否を尋ねた。
「熱は高いけど普通に食欲はあるから、そこまで重症じゃない感じ」
「そっかぁ。なら良かったー」
「ありがとな、明里の心配してくれて。アイツ喜ぶよ。
『菜子ぉ、ありがとぉー』って」
「あははっ。スゴーい、何回聞いても明里そっくりー」
晃君のモノマネにウケながらも、明里に対して良心がズキッと痛んだ。
明里、ごめんね。今朝、俊光君と手を繋いだ時、二人きりで通学出来てラッキー……とか思っちゃったんだ。
思っちゃったけど、やっぱり明里がいないと寂しいから、早く元気になってね。
と、私は晃君を明里に見立てて、心の中で手を合わせて謝った。
