テキストサイズ

俊光と菜子のホントの関係

第9章 『勝手にジェラシってる』





 ――なっ……なっ……なんだあれはっ。

 晃君が、菜子の髪を触りだしたぞっ。

 菜子も嫌がることなく、すんなりとその行為を受け入れてる。しかも晃君に対して、熱い視線を送ってやいないか?

 少し離れてて会話も聞こえないから、どういう流れでそうなったのかはわからないけど、あれじゃまるで――


「……ちょっとちょっとっ。あの向かいの席の端に座ってる、セーラー服と学ランの『カップル』、超可愛くない?」

「だよねっ。ワタシも思ったー」


 えっ……。


 俺が二人に対して思おうとした『カップル』という言葉を先に口にしたのは、前に座る女子高生二人組だった。寄り添って、キャッキャとハシャイで話している。

 この女子高生二人組がいう『向かいの席の端に座ってるカップル』とは、まさに菜子と晃君のことだった。逆の端には、中高年の男性が二人座っているだけだから、間違いはない。

 自分が思ったことと、女子高生二人組の発言が一致してしまうと、ますますモヤモヤしだした。


 なんだよ……俺と菜子だってカップルって言われてたことがあったのに。違うヤツといてもカップルに見えてしまうって(悔しいことに、俺も二人がカップルに見えてしまったし)。なんかムカつくな。


 その想いが手すりを握る手に表れ、ギリギリと力が入る。

 そんな俺の嫉妬心を煽るように、女子高生二人組の容赦ないトークは続く。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ