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俊光と菜子のホントの関係

第9章 『勝手にジェラシってる』


「髪とか触ったりしちゃって、ラブラブって感じーっ」


 ら……ラブラブ!?


「髪を触る行為って、セックスアピールの意味合いもあるって言わない?」


 セッ…………。


『セックス』という言葉を聞いて、俺――絶句する。


「それマジでー? 彼氏も彼女も可愛い顔して、ヤることヤってんだぁー」

「そうでしょ。だから彼女、あんなに胸がおっきいんじゃん? あははっ。やっば、リアルに想像しちゃうんですけどー」

「どっちも中学生っぽいのに、早くもどんだけヤってんだ? って話だしぃーっ」


 目の前にセーラー服の彼女の兄がいるとは知らずに、女子高生二人組は勝手な妄想をして興奮して、足をバタバタばたつかせている。

 
 うわーっ、もうやめてくれっ! 冷やかしでも聞きたくねぇっ! 俺の血管が持たねぇって! あと、二人とも中学生に見えるけど、一応高校生だぞっ! ってどっちにしても、とにかく俺の想像力をたくましくさせんなって!


 俺は心の中で耳を塞ぎ、もがき苦しみバタついた。


 はぁっ、はぁっ……。ちょっと冷静になって物事を考え直そう。

 相手は、明里ちゃんそっくりの晃君だ。きっと菜子からしたら明里ちゃん同然。

 そうだ。あれは明里ちゃんだ。今だけ晃君を明里ちゃんだと思おう。


 そうやって必死に暗示をかけるも――手すりを握る手には暗示がかからず、力が一向に緩むことがなかった。


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