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俊光と菜子のホントの関係

第2章 『俺と菜子』


「ていうかさぁー、俊光。前、オレに言ったよな?」

「何を?」


「オレが『菜子ちゃんをくれ』って言ったらさ――
『菜子はダメだ』『菜子だけは好きになるな』……って」


 うっ。今言われたら痛いとこ、コイツ突いてきやがった。兄として諭したことを、ここぞとばかりに……。


「あ……あぁ。言ったよ?」

「で? 今は誰が菜子ちゃんを好きになっている?」

「お…………俺です」


 俺は、肩身狭く答えた。


「っ、てっめぇー! 何でオレはダメで、お前はいいんだよっ!」


 ぐっ、ぐっ、苦しいっ。首を絞めて揺さぶんなっ。


「しょ、しょーがねぇだろっ! 好きになっちまったんだから! それに、お前に菜子を渡したら、すぐに操を奪うつもりだろ!」

「あーそうだとも!」


 げ、開き直りやがった!


「だからだよっ! 菜子の体ばかり着目しやがって!
『あの無垢な目で上目遣いしながら、大きな胸でオレのモノを挟んでほしいー』とか欲情丸出しだし! 菜子にそんなことさせられるかっつーの!」

「それならじゃあ、お前は大丈夫だっつーのか!? あんな愛らしくてボインな菜子ちゃんが、同じ一つ屋根の下でうろうろしてんだぞっ! 好きになったていうなら、すぐに押し倒して挟んでもらうつもりだろっ!」

「俺は兄として妹に対する免疫があるから、ちょっとやそっとじゃ理性は飛んだりしねぇっ! だからっ、挟んでもらったりもしねぇっ!」


 って、なんだこの如何(いかが)わしい言い合いは。

 俺はただ純粋に、菜子への想いを打ち明けただけなのに。


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