
俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
「じゃあ……お前何か? 菜子ちゃんが高校卒業するまで、ずっと片想いでいるつもりか?」
「えっ……」
ここにきて、智樹が急に真面目になって訊いてきた。
高校卒業まで片想いでいる……。
突然の質問に答えがつまった。いざ訊かれると、なかなか断言しにくいものがあるから。
その俺の様子を見てか、智樹は質問の答えを勝手に感じとり「はぁー」とため息をついた。
「なんかお前だったら、そうしそう……。
じゃあさ、もしお前がそうして、その間に菜子ちゃんが他の誰かに夢中になりだしたら、どうすんの?」
「それは……その時だよ」
正直、そんなのは嫌だ。だけど、菜子の自由な気持ちを、俺がどうこうする権利はない。
「……なぁ。いっそうのこと、今すぐに何もかも打ち明けるワケにはいかねぇの? 菜子ちゃんさ、確かに今は『兄としてラブ』だろうけど、もし打ち明けたら……男として、お前に気持ちがなびくんじゃねぇの?」
さっきの如何わしい言い合いが嘘みたいに、智樹が親身になりだした。
智樹の言うことが、いちいち核心をついてくる。
俺も……実は少しだけ『言ってしまおうか』という考えが、脳裏を過った。
けど――
「…………そうなるとも限らないって。かなり危険な駆け引きだよ、それは。
それに、俺の感情だけで菜子の気持ちを振り回したくないんだ。
俺と母さんとは血が繋がってない上に、今まで兄だった俺が菜子を好きだなんて……アイツには、そんなに急に受け入れきれねぇよ」
それを知った時の菜子の心中を憶測すると、心臓を鷲掴みされたみたいに胸が苦しくなる。
やっぱりそれは、簡単に言うわけにはいかない。
