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俊光と菜子のホントの関係

第9章 『勝手にジェラシってる』



 ――俊光君と目が合っちゃった私は、すぐにバッと反らした。


 なっなっなっなっ……何よ今のはーーっ!

 俊光君ったら、あの人と寄り添い合っちゃったりしてさぁ!

 まっ、まさかっ……私がいることに気づいたから、わざと見せつけたとか!?

 だとしたらっ……すんごい腹が立つぅー……!


「っ、いだだだだっ……な、菜子ちゃんっ、腕痛いっ」

「はっ。ご、ごめんね晃君っ!」


 私ったら、無意識に晃君の右腕をギリギリ掴んじゃってた!


「どうしたの? そんな険しい顔して。一体何を見てたの?」


 と言って、晃君が私の視線をたどるように、俊光君のいる方へ顔を向けようとした。


「わーっ、ダメっ」

「うぐっ」


 私はそれを阻止すべく、晃君の顔を両手で挟んでこっちに向かせた。


 俊光君とあの人のイチャイチャなんて見なくていいのっ! あんなの目の毒なんだからぁっ!


 なんてことは実際に言わないけど、代わりに目で強く訴えた。


「なっ、菜子ひゃん?」

「よそ見しないでっ。お願いだから私だけを見ててっ。ねっ?」


 と、かなり睨み付けながら言い聞かせてるのに、晃君はなぜかパァッと表情を綻ばせる。


「……うん。わかった。オレ、よそ見したりしないっ。菜子ちゃんだけ見てるからっ。じゃあ曲聴こうか! はい、イヤホン」

「あ……ありがと」


 どうしたんだろ? 急に嬉しそうにして……。


 晃君はそのままのテンションで、私に片方のイヤホンを渡してきた。


 よくわからないけど、まぁいいか。

 とにかく、俊光君なんてフーンだもんっ。晃君と楽しく曲聴いて、イライラムカムカを忘れるもんねーだっ。


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