
俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
「あ、あのっ、池崎先輩っ……」
「ん?」
いつの間にか、俺の前に一年生女子が二人。
そのうち一人は、どことなく落ち着かない様子。手には、あのクッキーらしき袋を持っている。もう一人は、そのコの背後にピッタリくっついていた。
なんだろ?
「そ、そのぉ……これをっ……」
「え?」
……あ。もしかして、
「あー智樹に? そうだよな、あの状況じゃあ渡しにくいよな。いいよ、俺が渡しておくから」
ちょっと内気っぽいコだから、人を割ってまで渡すって出来なそうだし――
「いえ、久我先輩にじゃなくてっ」
「は?」
「い……池崎先輩に……ですっ」
「あ……俺に?」
「はいっ」
まさか、俺にまでくれるとは。意外な展開だ。
なるほど。あの智樹と一緒にいるから、俺が貰えないのが気の毒と感じて、『じゃあ私があげよう』って思ってくれたのかも。へぇー、優しいコだな。
